「藍さん、ほっともっとのFCって、正直儲かるんですか?」
この質問、本当によく聞かれます。知人からも、これから開業を考えている人からも。私の答えはこれです。
「儲かりますよ。ただし、経営次第です。」
ふわっとした答えに聞こえるかもしれませんが、これが一番正直な答えです。この記事では、なぜそう言えるのか、実際の数字と自分の経験を交えながら、本音でお話ししたいと思います。
「儲かりそう」「儲からなそう」、どちらのイメージもある

面白いのは、この質問をしてくる人によって、期待している答えが真逆だということです。「大手のFCだから、看板だけで安定して儲かるんでしょう?」と羨ましそうに聞いてくる人もいれば、「原価率が高いって聞くけど、実際そんなに儲からないんじゃないの?」と心配そうに聞いてくる人もいます。
実はどちらも、半分正解で半分間違っています。ほっともっとの原価率は約50%。一般的な飲食店の原価率が30〜35%程度と言われる中で、これだけ見ると「儲からなそう」に見えるのは無理もありません。人件費率も18〜23%程度かかるので、原価と人件費を合わせたFL比率は68〜73%前後。「FL比率は60%以下が健全」という一般的な飲食業の基準に当てはめると、完全に赤信号です。
でも、この一般的な基準は、ほっともっとにはそのまま当てはまりません。仕入れの構造も、本部のサポート体制も、集客の仕組みも、個人店の飲食業とは前提が違うからです。数字だけを他業種と比べて怖がる必要はないというのが、経営してみての実感です。
数字で見る実態:固定でかかるものと、変動するもの

儲かるかどうかを考えるうえで大事なのは、「削れない固定費」と「経営努力で動かせる変動費」を分けて見ることです。
💡 ほっともっとの主な費用構造
・原価率:約50%(仕入れ構造上、ほぼ固定で動かしにくい)
・人件費率:18〜23%(シフトの組み方次第で動かせる)
・ロイヤリティ:月8万円の固定額(売上に連動しない)
・ユニット料:家賃・設備等の維持管理費。店舗ごとに金額は異なる
・そのほか:水道光熱費、消耗品などの変動費
ここでポイントになるのが、ロイヤリティが売上に連動する歩合ではなく、月8万円の固定額だという点です。これは私が経営していて「ありがたい」と感じている仕組みで、売上を伸ばした分がまるごとロイヤリティに吸われることがありません。つまり、売上を伸ばすほど、固定費が薄まって利益率が上がっていく構造になっているんです。
加えて、ほっともっとのFCは「ユニット料」という固定費が別途発生します。これは、①土地建物の賃料など施設にかかる費用、②店舗設備・厨房機器などの設備投資を耐用年数で按分した費用、③看板清掃やエアコン洗浄などの定期メンテナンス費用、この3つを合算したものです。店舗の立地や設備投資額によって金額は店舗ごとに大きく異なりますが、ロイヤリティと同じく売上に連動しない固定費という点は共通しています。つまり、自分の店の「毎月必ず出ていく固定費の総額」を、内訳まで含めて正確に把握できているかどうかが、経営の見通しを大きく左右するということです。
原価率という「動かしにくい変数」がある以上、儲けを左右するのは、この固定費を把握したうえでの人件費のコントロールと、売上そのものをどれだけ伸ばせるかにかかっています。ここが「経営次第」と言った理由の核心部分です。
ざっくりした利益の目安
具体的な手取り感を知りたい方も多いと思うので、ざっくりとしたレンジでお伝えします。月商500万〜700万円クラスの店舗であれば、原価と人件費(FL比率68〜73%)を差し引いた粗利は、月商のだいたい27〜32%程度。そこからロイヤリティ、ユニット料(家賃・設備維持費相当の固定費)、水道光熱費、消耗品などを払うと、手元に残る利益は月商のおおよそ1割前後というのが、私自身の肌感覚です。
月商が伸びるほど、この割合は上振れしていきます。これがロイヤリティが固定額であることの恩恵です。逆に月商が落ち込む月は、固定費の重みが増して、この割合はさらに縮みます。「同じ経費構造なのに、月によって手元に残る金額の感覚がまったく違う」というのは、経営していて何度も実感してきたことです。
儲かる店と儲からない店の分かれ目

同じ看板、同じロイヤリティ体系なのに、儲かっている店とそうでない店が実際に存在します。私が見てきた中で、その差は次の優先順位で数字を見ているかどうかに集約されると感じています。
- 売上——客数・客単価をどう伸ばすか
- 原価(廃棄ロス・不明ロスを含む)——動かしにくい原価率の中でも、ロスは経営努力で確実に減らせる部分
- 人件費——本部が設定した、売上に対する標準労働時間を意識したシフト設計
- 水道光熱費
- 消耗品
「儲からない」と嘆いている店の多くは、この優先順位の逆から手をつけています。消耗品や光熱費の節約に一生懸命になる一方で、廃棄ロスや不明ロスの数字をきちんと見ていない。ロスは原価率という「動かせない変数」の中に紛れ込んでいますが、実は動かせる部分です。ここに気づいて手を打てるかどうかが、儲かる店とそうでない店を分けていると感じています。
「本部分担金」という安全網が、経営次第の差を生む

「経営次第でしっかり儲かる」と言い切れるもう一つの理由が、「本部分担金」という制度です。
立地条件によって売上には当然差が出ますが、それだけでオーナーの取り分に差が出てしまわないよう調整する仕組みがほっともっとにはあります。FC開業前の、その店舗の実績(売上・水道光熱費などの数値)をもとに「この店舗なら、これくらいの数字になる」という予算が組まれ、その予算をベースに本部からの分担金が調整される、という制度です。
つまり、この直営店実績という基準を上回る売上をつくり、経費を基準より抑えられれば、その差額はまるごと自分の儲けになります。逆に、直営店時代よりも下回ってしまった場合には、儲かりづらい仕組みになっているんです。
この制度があるからこそ、「立地が悪いから儲からない」と最初からあきらめる必要もなければ、「良い立地だから何もしなくても儲かる」というわけでもありません。基準を上回る努力をした分だけ、ちゃんと儲けとして跳ね返ってくる——これが、「儲かるかどうかは経営次第」と言い切れる、制度面での裏付けです。
それでも私が「儲かる」と言い切れる理由
正直に言うと、開業したばかりの頃は「本当にやっていけるんだろうか」と不安になった時期もありました。直営店時代よりも頑張らないといけないと考えてしまうと、身構えてしまう気持ちもよくわかります。
でも実際に何年も経営してみて分かったのは、頑張った分だけ見返りがあるということです。ロイヤリティが固定額である以上、売上を伸ばし、ロスを減らし、シフトを整えれば、利益はちゃんとついてきます。逆にそこをサボれば、どんな業態であっても儲かりません。それは飲食業に限った話ではないと思います。
「大手の看板だから自動的に儲かる」わけでも、「原価率が高いから儲からない」わけでもない。数字を見て、動かせる部分に手を打ち続けたオーナーが、ちゃんと利益を残せる——これが、現役オーナーとしての私の本音です。
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まとめ
- ほっともっとの原価率は約50%、FL比率は68〜73%前後で、一般的な飲食業の基準(60%以下が健全)は当てはまらない
- ロイヤリティは売上に連動しない月8万円の固定額のため、売上を伸ばすほど利益率が上がる構造になっている。また、家賃・設備維持費相当の「ユニット料」という固定費も別途かかる
- 月商500〜700万円クラスの店舗で、手元に残る利益は月商のおおよそ1割前後が肌感覚の目安
- 儲かる店とそうでない店の差は、「売上→原価(ロス)→人件費→水道光熱費→消耗品」の優先順位で数字を見ているかどうかに集約される
- 「本部分担金」という、直営店実績を基準にオーナーの取り分を調整する仕組みがあり、その基準を上回る努力をした分だけ儲けとして跳ね返ってくる
- 結論として「儲かるか」と聞かれたら、「儲かる。ただし経営次第」というのが現役オーナーとしての本音