「配達車をそろそろ買い替えたいけど、何か使える補助金ないですか?」
先日、こんな相談を受けました。
結論から言うと、ガソリン車・普通のバイクの「買い替え」にそのまま使える補助金は、ほぼ見当たりませんでした。ただ、調べていく中で「これなら現実的に使えそうだ」という制度もいくつか見えてきたので、今回はその内容を整理してみます。
業務改善助成金は「移動のためだけの車両」は対象外

設備投資系の助成金と聞いて真っ先に思い浮かぶのが「業務改善助成金」です。事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げると、生産性向上につながる設備投資費用の一部が助成される制度で、厨房機器の入れ替えなどで使ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、車両については「特種用途自動車」に限られており、移動手段としてのバイクや普通車は対象外とされています。介護福祉業のリフト付き車両のように「その設備がないと業務そのものが成り立たない」というレベルでなければ認められない、というのが実態です。配達用の車は業務に欠かせないものですが、あくまで「移動のための乗り物」という扱いになってしまうため、この助成金での購入は難しいと考えておいた方がよさそうです。
持続化補助金は車両本体NGでも「ラッピング広告費」はOKなことがある

もう一つよく名前が挙がるのが「小規模事業者持続化補助金」です。こちらも車両本体(車・バイク・自転車)の購入は、汎用性が高く目的外使用のおそれがあるという理由で明確に対象外とされています。「新しい車を買う費用を持続化補助金でまかなう」というのは、残念ながら難しい制度です。
ただ面白いのが、すでに持っている配達用の車両に店名やロゴ、メニューを入れる「ラッピング費用」は、販路開拓のための広報費として対象になり得るという点です。走っているバイクや車そのものが広告塔になる、という発想ですね。買い替えには使えなくても、今ある車両を「見た目から集客に活かす」という使い方であれば検討の余地があります。
一括経費にできる「少額減価償却資産の特例」を活用する

補助金ではなく税制面の話にはなりますが、実務的にはこちらの方が使い勝手がいいかもしれません。「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」という制度で、取得価額が一定額未満の資産を購入した場合、通常は数年かけて減価償却するところをその年の経費として一括で計上できるというものです。
令和8年度の税制改正で、この上限が従来の30万円未満から40万円未満に引き上げられ、適用期限も令和11年3月31日まで延長されました(年間の合計限度額300万円は変更なし)。中古の配達用バイクや、価格を抑えた軽自動車であれば十分このレンジに収まる場合が多く、購入した年にまとめて経費化できるのは資金繰りの面でもメリットがあります。補助金のような「もらえるお金」ではありませんが、知っているかどうかで手元に残るお金が変わってくる制度です。
電気自動車・電動バイクの補助金はどうか
「電気自動車や電動バイクにすれば何か出るのでは」と考える方もいらっしゃると思います。実際、国のCEV補助金や商用車の電動化を対象にした補助制度は存在しますが、事業用車両は対象外だったり、対象車種がEV・PHV・FCVに限られていたりと条件がかなり細かく、埼玉県では電気自動車にそのまま使える補助金は今のところ見当たりませんでした。ガソリン車からの単純な乗り換えを考えている段階では、あまり期待しすぎない方がよさそうです。
結局、今すぐ使える制度はあるのか
ここまで見てきた内容をまとめると、配達用バイク・車を「新しく買う」こと自体に使える補助金は、現時点ではほぼありません。業務改善助成金・持続化補助金とも、車両購入は原則対象外という点は共通しています。
その代わり、今ある車両をラッピングして広告塔として活用する費用や、購入時の少額減価償却資産の特例といった、買い替え以外の切り口であれば使える制度があります。「補助金で車両を買う」という発想から、「今の車両にかかる周辺コストを制度でどう抑えるか」という発想に切り替えると、意外と選択肢が見つかるかもしれません。
📋 配達用の車両、使える制度が自店にあるか一緒に確認しませんか?
AILLコンサルティングでは、ほっともっとオーナー向けに補助金・助成金の情報収集から申請サポートまでご相談を承っています。「うちの店だと何か使える制度はあるのか」という段階からお気軽にどうぞ。
まとめ
- 業務改善助成金は車両を「特種用途自動車」に限定しており、配達用バイク・普通車のような移動手段としての車両は対象外
- 小規模事業者持続化補助金も車両本体の購入は対象外だが、既存車両への店名・ロゴのラッピング費用は広報費として対象になり得る
- 「少額減価償却資産の特例」を使えば、40万円未満(令和8年度改正後・年間300万円まで)の車両購入を一括経費化できる
- 電気自動車・電動バイクの補助金も条件が細かく、今すぐ使える制度は見当たらない
- 「補助金で買う」より「今の車両の周辺コストを制度で抑える」発想に切り替えると選択肢が見つかりやすい