「厚生年金の「2階建て」って何?国民年金との違い」AILLコンサルティング ブログ#067

「オーナー、厚生年金ってなんでこんなに引かれるんですか?国民年金と何が違うんですか?」

給与明細を見たクルーから、そう聞かれたことがあります。以前#60の記事で「厚生年金に加入すると年金が2階建てになる」と書いたのですが、そもそも「2階建て」ってどういう意味なのか、今回の記事で説明したいと思います。私も昔は雰囲気でしか理解していませんでした(笑)。今日は国民年金と厚生年金の違いを、給与計算担当の視点も交えて整理します。


年金制度の「2階建て」とは、そもそもどういう意味?

給与明細を見ながら年金について質問するクルーのイメージ

日本の公的年金制度は、よく「2階建て」と表現されます。1階部分が全員共通の国民年金、2階部分が会社員・パートなど厚生年金の加入者だけが上乗せで加入する厚生年金です。国民年金だけの人は平屋、厚生年金にも加入している人は2階建ての家に住んでいる、とイメージするとわかりやすいと思います。

つまり厚生年金は国民年金の「代わり」ではなく、国民年金の上に積み増しされる制度。厚生年金に加入しているクルーは、実は国民年金にも同時に加入していて、両方の保険料をまとめて給与から天引きされている、という状態なんです。


1階部分「国民年金」とは

国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人が全員加入する制度です。ほっともっとのクルーでいえば、学生クルーも、扶養内のパートクルーも、フルタイムのクルーも、20歳になれば全員がこの1階部分の対象になります。

保険料は収入に関係なく定額で、自営業者や学生、扶養内で働くクルーなどは自分で(あるいは配偶者経由で)納めます。将来受け取れるのは「老齢基礎年金」で、40年間きちんと納めた場合の満額は年間約80万円ほど(年度により変動)です。


2階部分「厚生年金」とは

2階建ての年金制度をイメージした資料を確認するほっともっとオーナーのイメージ

厚生年金は、社会保険に加入している会社員・パート・アルバイトが対象です。#60の記事で触れた「4分の3基準」や「106万円の壁」の条件を満たして社会保険に入ったクルーは、自動的にこの厚生年金にも加入することになります。

国民年金と違い、保険料は給与(標準報酬月額)に比例して決まり、しかも会社と本人で折半します。将来は国民年金部分(老齢基礎年金)に加えて、厚生年金に加入していた期間や納めた保険料に応じた「老齢厚生年金」が上乗せされる仕組みです。給与が高い人・加入期間が長い人ほど、2階部分の受給額も増えていきます。


国民年金と厚生年金、何が違う?比較で整理

国民年金と厚生年金の違いを比較資料で確認するほっともっとオーナーのイメージ
項目 国民年金(1階) 厚生年金(2階)
加入対象 20歳以上60歳未満の全員 社会保険加入クルー・会社員
保険料 収入にかかわらず定額 標準報酬月額に比例
保険料負担 全額自己負担 会社と本人で折半
将来もらえる年金 老齢基礎年金のみ 老齢基礎年金+老齢厚生年金

こうして並べてみると、厚生年金は保険料負担が増える分、会社が半分持ってくれるうえに、将来の受給額も上乗せされる制度だとわかります。「引かれる金額が多いから損」と感じてしまいがちですが、実際は同じ金額を国民年金だけで積み立てるより効率がいい、とも言えるんですよね。


クルーに聞かれたら、どう説明する?

私がクルーに説明するときは、「1階は国が全員に用意してくれている土台、2階は社会保険に入っているあなただけの追加の備え」という言い方をしています。数字や制度の名前をそのまま伝えるより、家のイメージで話したほうが「ああ、だから引かれてる金額が多いんですね」と納得してもらいやすい印象です。

あわせて、「引かれている分は消えてなくなるお金ではなく、将来の自分に積み立てているお金」だと伝えると、天引き額への不満も少し和らぐように感じています。


給与計算担当として気をつけたいこと

標準報酬月額と保険料率を確認しながら給与計算するほっともっとオーナーのイメージ

① 保険料は「標準報酬月額」で決まる

厚生年金保険料は、実際の給与そのものではなく、一定の幅で区分された標準報酬月額にもとづいて計算します。毎月の給与額そのままで計算しているつもりでズレてしまうケースがあるので、等級表を確認しながら処理することが大切です。

② 大きく給与が変わったら「月額変更届」を忘れずに

昇給やシフト時間の大幅な変更で固定的賃金が大きく変わった場合、標準報酬月額を見直す「随時改定(月額変更届)」の手続きが必要になることがあります。改定を放置すると、保険料の徴収額と実際の給与水準がずれたままになってしまうので注意が必要です。

③ 会社負担分の仕訳も忘れずに

厚生年金保険料は会社と本人で折半するため、給与から天引きする本人負担分だけでなく、会社負担分の仕訳・納付もセットで管理する必要があります。ここを見落とすと、資金繰りの見通しがズレてしまうこともあるので、毎月のルーティンとして押さえておきたいポイントです。

「厚生年金って結局何なんですか?」という質問は、給与計算をしていると意外とよく受けます。1階・2階のイメージさえ伝えられれば、クルーも自分の給与明細への理解がぐっと深まると思います。制度を正しく説明できることも、オーナーとしての信頼につながる部分ではないでしょうか。

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AILLコンサルティングでは、ほっともっとオーナー向けに標準報酬月額の管理や月額変更届の手続き、社会保険料の給与計算代行を行っています。制度の説明資料づくりも承っていますので、お気軽にご相談ください。

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まとめ

  • 公的年金は1階=国民年金、2階=厚生年金の2階建て構造。厚生年金は国民年金の上に積み増しされる制度
  • 国民年金は20歳以上60歳未満の全員が対象で保険料は定額。厚生年金は社会保険加入者のみで保険料は標準報酬月額に比例
  • 厚生年金の保険料は会社と本人で折半。将来は老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされる
  • クルーには「1階は土台、2階は自分だけの追加の備え」とイメージで説明すると伝わりやすい
  • 給与計算担当は標準報酬月額の等級月額変更届会社負担分の仕訳の3点を押さえておく