「新しい標準報酬月額って、9月分からでいいんですよね?」
9月分という認識でも「あれ、9月支払いの給与からだっけ? それとも10月支払いから?」と迷いませんか?
前回は、算定基礎届の結果として届く「標準報酬決定通知書」の見方をお話ししました。今回はその続きで、決まった新しい金額を、いつの給与計算から反映するのか——ここが1ヶ月ずれやすいので、整理しておきましょう。
そもそも「9月に変わる」ものって何?

まず、勘違いしないようにしたいのが、9月に変わるのは保険料率ではないということ。変わるのは従業員一人ひとりの標準報酬月額(等級)です。
算定基礎届で提出した4〜6月の報酬をもとに、その年の9月分から翌年8月分までの標準報酬月額が決め直されます。これを定時決定と呼びます。つまり「毎年1回、保険料の計算のベースになる金額を見直す」しくみですね。
💡 「料率が9月に上がる」ではありません
厚生年金保険料率は2017年9月以降、18.3%で固定されていて動いていません。健康保険料率・介護保険料率(協会けんぽ)が改定されるのは例年3月分(4月納付分)からで、9月ではありません。9月に切り替わるのは、あくまで「一人ひとりの等級」です。
いつの給与から反映する?──当月控除と翌月控除

新しい標準報酬月額は、9月分の保険料から適用されます。ここは決まっています。迷うのは「じゃあ、9月分の保険料っていつの給与から天引きするの?」という部分です。
社会保険料は、その月の分を翌月の給与から差し引く(翌月控除)のが原則です。ほっともっとの店舗でも、この翌月控除を採用しているお店が多いと思います。ただ、お店によっては当月控除にしているケースもあるので、自店がどちらなのかを必ず確認してください。
| 控除方式 | 9月分の保険料を差し引く給与 | 新しい等級で計算し始める給与 |
|---|---|---|
| 翌月控除(原則・多数派) | 10月支払いの給与 | 10月支払いの給与から |
| 当月控除 | 9月支払いの給与 | 9月支払いの給与から |
いちばん多いミスが、翌月控除なのに9月支払いの給与から等級を変えてしまうパターンです。1ヶ月早く反映してしまうわけですね。逆に、当月控除なのに10月支払いまで気づかず、1ヶ月遅れることもあります。「9月分から」という言葉だけが独り歩きすると、こうしたズレが起きやすいので注意してください。
よくある反映漏れ・ミス
① タイミングを1ヶ月ずらしてしまう
自店の控除方式に当てはめて、「新しい等級で計算するのは○月支払いの給与から」とメモに書いておくと迷いません。
② 等級が下がった人の対応を忘れる
等級が上がった従業員の手取りが減るのは気にするのに、下がった従業員の反映を見落とすことがあります。「全員据え置きだろう」と思い込まず、通知書を1行ずつ確認しましょう。上がった人・下がった人・変わらない人、それぞれ何名か把握しておくと安心です。
③ 賞与の保険料と混同する
賞与にかかる社会保険料は標準賞与額で別に計算するもので、定時決定とは関係ありません。9月に寸志や賞与を出すお店は、通常の給与計算と賞与計算が同じ月に重なって混乱しがちなので、分けて考えてください。
④ 保険料が免除されている従業員の確認漏れ
産前産後休業・育児休業で保険料が免除されている従業員は、免除期間中はそもそも控除がありません。復帰したときに「新しい等級はいくつだったか」を通知書で確認する、という手順を忘れないようにしましょう。随時改定(月変)の対象になっている人がいる場合も、そちらが優先されます。
外注していても、切り替えはオーナーから伝える

給与計算を外注していても、決定通知書そのものは事業所にしか届きません。外注先は「今年の定時決定でどの等級になったか」を、こちらから伝えないと分からないんです。
通知書が届いたらすぐにコピーを取って外注先に渡し、「うちは翌月控除なので、10月支払いの給与から新しい等級でお願いします」と一言伝えてあげましょう。控除方式まで伝えておけば、先ほどの1ヶ月ズレはまず起きません。通知書を渡すだけで方式を伝えていないと、外注先が想定と違うタイミングで反映してしまうこともあるので、ここは気をつけたいところです。
📋 定時決定の給与計算への反映、お任せください
AILLコンサルティングでは、標準報酬決定通知書の内容チェックから、控除方式に合わせた新等級の反映タイミングの確認、給与計算ソフトへの設定変更までサポートしています。「9月分からって、いつの給与から変えればいいの?」という段階からご相談いただけます。
まとめ
- 9月に切り替わるのは保険料率ではなく、従業員ごとの標準報酬月額(等級)。算定基礎届による「定時決定」の結果
- 厚生年金保険料率は2017年9月から18.3%で固定、協会けんぽの健康保険・介護保険料率の改定は3月分からで、9月ではない
- 新しい等級は9月分の保険料から適用。実際にどの給与から変えるかは控除方式で決まる
- 翌月控除なら10月支払いの給与から、当月控除なら9月支払いの給与から。翌月控除なのに9月支払いから変えてしまう「1ヶ月早い反映」がいちばん多いミス
- 等級が下がった人の反映漏れ、賞与の保険料との混同、免除中の従業員の確認漏れにも注意
- 外注している場合は通知書のコピー+自店の控除方式をセットで伝える