「面接ではハキハキ受け答えできていたのに、いざ現場に出たら声が小さくて聞こえない」「動きが遅くてピークについてこれない」「教えたことがなかなか覚えられない」
そんな経験、店舗を運営している方なら何度もあるのではないでしょうか。私自身、何度もこの壁にぶつかってきました。面接では、愛想もいいし、受け答えもしっかりしている。「これは即戦力になりそうだ」と思って採用したのに、実際に現場に立ってもらうと、①仕事がなかなか覚えられない、②作業スピードが遅い、③大きな声が出せない——こんな感じで、結果として20時間も経たないうちに、「やっぱりこの人には無理だ」と感じてしまうことが、何度もありました。
採用には求人広告費もかかりますし、面接や研修にも時間を使います。それが20時間足らずで「無理かもしれない」と感じてしまうのは、お金と時間の両方が無駄になりかねないということです。原因は、面接の段階で「ほっともっとの現場に向いているか」を見抜けていなかったこと。そこで今回、ほっともっとの仕事に必要な記憶力・スピード・声の3つの適性を見極める検査を作ってみました。合計5分程度、今日からそのまま使える形にまとめたので、テストシートと採点基準まで全部公開します。
面接の印象と、現場でのギャップ

面接という場は、正直かなり特殊な環境だと感じています。志望動機を聞かれることは事前に想定できますし、受け答えも準備してくる人がほとんどです。落ち着いたバックヤードで、一対一で、一つ一つの質問に答えを返す。多くの人はこれくらいのことはそつなくこなせます。
でも、ほっともっとの現場はまったく違います。まず、お客様が来店したら大きな声で「いらっしゃいませ」と言わなければいけませんし、注文も声を出して復唱します。声が小さいと、お客様にもキッチンにも伝わりません。さらにライス・フライヤー・ガス・カウンター、それぞれのポジションが同時並行で動きながら、次から次に入ってくる注文をさばいていく。「一つのことにじっくり取り組む」のではなく「複数のことを同時に、しかも速くこなす」ことが求められる仕事です。そのうえ、50種類以上あるお弁当メニューや調理の手順を、短期間で頭に入れてもらう必要もあります。
面接での落ち着いた受け答えと、現場で求められる「手順を覚える」「テキパキ動く」「声を出す」という力は、まったく別の能力と言っていいと思います。この「ほっともっとの仕事に必要な能力」を面接では確認できていなかった。だから、面接の印象だけで採用を決めると、現場に出た瞬間にギャップが露呈してしまう。これが、早期離職の大きな原因の一つだと考えています。
20時間で「無理だ」と感じてしまうことの重み

20時間というと、シフトにして4〜5回程度の出勤日数です。制服を用意して、挨拶や基本作業を教え始めたばかりのタイミングで、もう「この人には難しいかもしれない」とオーナー側が感じてしまう。ここで見切りをつけざるを得なくなれば、教える側の時間も、応募してもらうためにかけた広告費も、回収できないまま終わってしまいます。
本人にとっても、決して良いことではありません。オーナー側が早々に「無理だ」と見切りをつけてしまえば、本人が本来の力を発揮する前に「自分には向いていない」と感じて辞めてしまうことにもつながります。だからこそ、採用の入り口で「向いているかどうか」をできる限り見極めることが、お店にとってもクルー本人にとっても大事なことだと思います。
既存の検査ではなく、自作することにした理由
市販の適性検査や無料の性格診断ツールも調べてみましたが、どれも一般的な職業適性や性格傾向を測るもので、「手順を覚えられるか」「作業スピードが速いか」「大きな声が出せるか」という、ほっともっとの仕事に必要な適性を測るものではありませんでした。ほっともっとの現場で本当に必要なのは、性格の傾向以上にこの3つの現場適性です。ここに特化した検査を、ほっともっとの現場に合わせて作ってみました。
今日から使える3つの検査【合計5分】

実際に作ったのが、次の3つの検査です。面接の後半、5分ほどで実施できます。それぞれのやり方と採点基準をそのまま公開しますので、コピーして使ってもらって構いません。
① 手順再現テスト(目安3分)
「作業を覚えられるか」を確認するテストです。面接官が下記の4ステップの手順を、一度だけ口頭でゆっくり説明します。メモは取らせません。
面接官が読み上げる手順(1回のみ)
①容器を取る → ②ご飯を230g入れる → ③ キンピラを15g、たくあんを10gのせる → ④蓋を閉めて期限シールを貼る
説明が終わったら、次の2つのテストを行った後で「さっき説明した手順を、順番通りに言ってみてください」と尋ねます。間を空けるのがポイントで、これによって単なる暗記ではなく、実際の記憶の定着度を確認できます。
| 再現できたステップ数 | 得点 |
|---|---|
| 4ステップすべて、順番通りで盛り込み量も正確 | 10点 |
| 4ステップとも順番は合っているが盛り込み量が一部違う | 7点 |
| うろ覚えで一部しか言えない | 4点 |
| ほとんど覚えていない | 0点 |
② 反応・処理速度テスト(目安1分)
下のマス目にある「7」を、できるだけ早く○で囲んでもらいます。見るのは正解数ではなく、「7」を全部を見つけ終えるまでに何秒かかったかです。「よーいスタート」の合図でストップウォッチを押し、応募者が「できました」と言ったところで止めてください。
| 3 | 8 | 9 | 5 | 3 | 3 | 5 | 3 | 1 | 7 |
| 8 | 2 | 4 | 5 | 9 | 3 | 2 | 8 | 2 | 6 |
| 6 | 8 | 2 | 8 | 3 | 1 | 4 | 6 | 5 | 1 |
| 9 | 6 | 9 | 8 | 7 | 7 | 5 | 7 | 5 | 1 |
| 6 | 5 | 2 | 4 | 5 | 1 | 4 | 1 | 6 | 2 |
| 2 | 6 | 1 | 7 | 7 | 1 | 5 | 6 | 9 | 4 |
| 2 | 8 | 7 | 1 | 2 | 9 | 7 | 6 | 9 | 8 |
| 2 | 6 | 2 | 7 | 8 | 7 | 7 | 6 | 1 | 9 |
| 8 | 6 | 4 | 9 | 2 | 1 | 7 | 8 | 6 | 4 |
| 3 | 7 | 7 | 9 | 3 | 6 | 5 | 3 | 4 | 5 |
採点(10点満点):「7」を全部を見つけ終えるまでのタイムで判定します。「7」は全部で14個あります(応募者には伝えない)。漏れがあった場合は、2秒加算してください。
| タイム(14個完了まで) | 得点 |
|---|---|
| 15秒以内 | 10点 |
| 15〜20秒 | 7点 |
| 20〜25秒 | 4点 |
| 25秒超 | 0点 |
※上記のタイムはあくまで目安です。在籍しているクルーに試してもらい、自店の実態に合わせて秒数を調整してください。
③ 声出しチェック(目安1分)
「大きな声が出せるか」を確認するテストです。応募者に、次のフレーズをお客様に向けるつもりで、大きな声で言ってもらいます。
面接官は応募者から2〜3メートル離れた位置に立ち、実際にどれくらい声が届くかを体感で確認してください。恥ずかしがって小さい声になる人は、現場でも同じように声が出せない可能性が高いです。
| 声の届き方 | 得点 |
|---|---|
| 自然に大きな声が出ており、離れていてもはっきり聞こえる | 10点 |
| 頑張ってはいるが、声量は控えめ | 5点 |
| 声が小さすぎる、または恥ずかしがって声を出せない | 0点 |
※面接という場自体が声を出しにくい環境である点は考慮しつつ、それでも「声を張れなかった」場合は、現場でも同様の傾向が出やすいと考えて、厳しく採点してください。
合計点の判定基準【30点満点】
①手順再現テスト(10点)+②反応・処理速度テスト(10点)+③声出しチェック(10点)を合計し、次の基準で判定します。
| 合計点 | 判定 |
|---|---|
| 24〜30点 | 採用:記憶力・スピード・声の現場適性は問題なし |
| 15〜23点 | 微妙:どの項目で点が低かったかを確認し、他の面接内容と合わせて総合判断(例:声だけ弱いなら厨房系ポジションから任せる、記憶だけ弱いなら手順を写真やテキストで補って教える、など) |
| 0〜14点 | 見送りを検討:現場でのミスマッチが起きる可能性が高い |
💡 点数だけで機械的に決めないこと
この検査はあくまで「記憶力・スピード・声」という3つの現場適性を見るものです。人柄・誠実さ・シフトに入れる時間帯なども採用の重要な判断材料なので、点数はその他の面接内容と合わせた参考情報の一つとして使ってください。特に15〜23点の「微妙」ゾーンは、面接官の総合的な印象を優先して判断するのがおすすめです。
まとめ
- 面接の印象は良くても、現場に出ると①仕事が覚えられない②スピードが遅い③声が小さいのいずれかに当てはまり、20時間も経たないうちに「やっぱり無理だ」と感じてしまうクルーが少なくなかった
- ほっともっとの現場では、短期間でのメニュー習得・同時並行での作業・大きな声での接客が求められ、面接での落ち着いた受け答えとは別の能力が試される
- 市販の検査は一般的な職業適性・性格傾向向けで、この3つの現場適性に特化したものがなかったため、オリジナルの検査を自作した
- ①手順再現テスト②反応・処理速度テスト③声出しチェックの3つを、合計5分・30点満点で実施
- 24〜30点は採用、15〜23点はどの項目が弱いかを見て総合判断、0〜14点は見送り検討という基準で運用を始める
🎁 特典:クルー面接 適性検査シート(PDF)
この記事で紹介した①手順再現テスト②反応・処理速度テスト③声出しチェックの3検査を、そのまま面接で使える検査シートにしました。応募者名・面接日・面接官の記入欄、採点表、得点記入欄、合計点の判定基準まで、A4一枚に収めています。①②③の間には折り目の目安線も入れてあるので、印刷してそのままお使いください。
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