「廃棄改善は「作らない」ではなく「作るタイミング」を変える」AILLコンサルティング ブログ#034

「廃棄を減らしましょう」と言われたとき、多くの店舗が最初に考えるのは「作る量を減らすこと」です。

でも、これだけでは機会ロスが発生します。お客様が来店しても準備が出来ておらず、売上を取り逃がしてしまう。廃棄は減っても、売上も一緒に下がってしまう——そんな経験をされたFCオーナーは多いのではないでしょうか。

廃棄改善の本質は「作らない」ではありません。「商材の特性に合わせて、作るタイミングと量を管理すること」です。


ほっともっとで廃棄が出やすい商材とその特性

廃棄商品を確認するほっともっとオーナーのイメージ

ほっともっとの廃棄は、商材によって発生しやすい状況がまったく異なります。主な商材ごとに整理すると、次のとおりです。

商材 仕込みの特性 廃棄が出やすい理由
おかずセット 1日2回仕込み から揚げ・ハンバーグ・しょうが焼き弁当など複数メニューで共用するため、需要の読み間違えが廃棄につながる
ミックス野菜 朝1回のみ仕込み 消毒・洗浄で30分かかるため、ピーク中の追加仕込みが難しく、切らさないよう多めに用意せざるを得ない
鮭・サバなど 1日2回以上仕込み 1個あたりの原価が高いため、廃棄が出ると金額インパクトが大きい
揚げ物 ピーク前に準備 1個あたりの金額は小さいが、毎日1〜2個の廃棄が積み重なると月単位では無視できない金額になる

このように、廃棄の「発生しやすい理由」は商材によって異なります。同じ「廃棄を減らす」という目標に対して、商材ごとに対策を変える必要があるのはそのためです。


廃棄ロスの目安——本部設定ロスと実際の差

ほっともっとの営業報告書には、本部が設定した「設定ロス」が明記されています。これが廃棄ロス(+不明ロス)の本部基準となります。

設定ロスとは

本部が「この程度のロスは発生して当然」として設定した月次の許容ロス金額。廃棄ロス+不明ロスの合計が設定ロス以内に収まっているかどうかで、ロス管理の水準を判断します。不明ロスは本来0が基本ですので、実態としては廃棄ロス=設定ロスと見てほぼ問題ありません。

月間売上700〜740万円規模の店舗では、設定ロスの目安は月11〜12万円程度(売上比約1.6%)です。

一方、しっかりと仕込み管理ができている店舗では、実際の廃棄ロスを月5万円以内(売上比0.6%以内)に抑えることができています。つまり、管理次第で設定ロスの1/3程度まで廃棄を減らせる余地があるということです。

💡 廃棄ロスと不明ロスの違い

廃棄ロスは「実際に廃棄した商材の原価」、不明ロスは「仕入・在庫・盛込み量のズレから生じる差額」です。不明ロスが大きい場合は、オペレーションや在庫管理に問題がある可能性があります。廃棄ロスだけを見ていると、不明ロスの問題を見落とすことがあるため、両方を合わせた設定ロスとの比較で確認することが重要です。


プロダクトスケジュール表で仕込みを「見える化」する

プロダクトスケジュール表を確認するほっともっとオーナーのイメージ

廃棄を減らすうえで最も効果的な仕組みの一つが、プロダクトスケジュール表です。

ほっともっとの多くの店舗では、ベテランのクルーや店長が口頭で仕込み量を伝えています。これでは人によって判断がバラつき、廃棄が増えたり欠品が出たりする原因になります。

プロダクトスケジュール表とは、「何を・いつ・いくつ仕込むか」を一覧にした表です。具体的には以下の内容を明記します。

  • ピーク時の揚げ物・焼き物の数量
  • ボイルの仕込み数
  • 肉類の解凍数
  • 野菜の仕込み量
  • 鮭などコンベクションオーブンでの仕込み数
  • 大根おろしなどディシャップ台で使う商材の仕込み数

これをポジション毎に掲示しておくことで、クルーが誰でも同じ基準で動けるようになります。口頭伝達に頼っている店舗と比べると、責任者の労力と廃棄量の安定感がまったく違います。


おかずセットは「4パターン」で管理する

ピーク中に売れ行きを見ながら追加生産を判断するほっともっとクルーのイメージ

おかずセットは廃棄が出やすい商材の一つです。から揚弁当・デミグラスハンバーグ弁当・しょうが焼き弁当など複数のメニューで使うため、1回の仕込みが複数商品に影響します。

この管理で有効なのが、4パターンの基準値で仕込み量を決めることです。

パターン 仕込みタイミング
平日・昼 昼ピーク後(次のピークに向けて仕込む)
土日祝・昼
平日・夜 夜ピーク後(翌日の昼ピークに向けて仕込む)
土日祝・夜

平日と土日祝、昼と夜で需要量が異なるため、それぞれに合わせた基準値を設定します。新商品や終売商品が出たタイミングでトレンドに合わせて基準値を微調整することも重要です。

「だいたいこのくらい」という感覚で仕込んでいる店舗が多い中で、4パターンの基準値を持って運営することは大きなアドバンテージになります。


「タイミングを変えにくい商材」には量の最適化で対応する

ここで一点、重要な補足をします。

ミックス野菜のように、仕込みに時間がかかる商材は「タイミングを変える」対応が難しいです。消毒・洗浄で30分かかる生野菜は、ピーク中の追加仕込みが困難です。切らしてしまうと提供時間が大幅にかかってしまうため、朝に1日分まとめて仕込む必要があります。

このような商材に対しては、「タイミングを変える」ではなく「仕込み量を曜日・時期で最適化する」アプローチが有効です。

  • 平日と土日祝で仕込み量の基準を変える
  • 繁忙期・閑散期で量を調整する
  • 前週・前月のデータを参考に量を見直す

廃棄改善は「すべての商材に同じ対策をとる」のではなく、商材ごとの特性に合わせてアプローチを変えることがポイントです。


廃棄と欠品、どちらを優先するか

廃棄と欠品はトレードオフの関係にあります。廃棄を徹底して減らそうとすれば欠品リスクが上がり、欠品を絶対に出すまいとすれば廃棄が増える。

大切なのは、廃棄ゼロを目指すことではなく、廃棄と欠品のバランスを取りながら利益を最大化することです。

1日数百円の廃棄が出ることは、適切な在庫管理ができている証拠でもあります。廃棄が一切出ない状態は、欠品のリスクが高い状態と表裏一体です。数字を追いかけすぎず、「設定ロスの範囲内に収まっているか」を基準に管理することをおすすめします。

📋 店舗運営のご相談、受け付けています

プロダクトスケジュール表の作り方・廃棄管理の仕組みづくり・仕込み量の最適化など、店舗運営に関するご相談をお受けしています。「どこから手をつければいいかわからない」という段階でもお気軽にどうぞ。

▶ 無料相談はこちら

まとめ

  • 廃棄改善の本質は「作らない」ではなく、商材の特性に合わせて「作るタイミングと量を管理すること」
  • おかずセット・鮭など「タイミングを変えられる商材」は、ピークの前後に合わせた複数回仕込みが有効
  • ミックス野菜など「仕込みに時間がかかる商材」は、タイミングではなく曜日・時期ごとの量の最適化で対応する
  • プロダクトスケジュール表(仕込み数量の一覧)を掲示することで、クルー全員が同じ基準で動けるようになる
  • 廃棄ロスの目安:設定ロス(本部基準)は売上等によって異なるが、しっかり管理できている店舗で月50,000円以内(売上比0.6%以内)に抑えられる
  • 廃棄ゼロより「設定ロスの範囲内に収まっているか」を基準に、廃棄と欠品のバランスを取ることが重要