「オーナー、子どもが熱出したときにお休みする制度って、うちにもありますか?」
あるパートのクルーさんから、そう聞かれたことがあります。お子さんが小学生に上がったばかりで、学級閉鎖や体調不良でたびたび休まなければならなくなった、というタイミングでした。
正直、そのとき「子の看護休暇」がうちの就業規則にちゃんと反映されているか、自信を持って答えられませんでした。慌てて調べてみたところ、2025年に育児・介護休業法が大きく改正されていたことに気づいたんです。
「うちみたいな数十人規模のFC店舗には関係ない話だろう」と思っていたのですが、調べれば調べるほど、小規模な店舗ほどしっかり押さえておくべき内容だとわかってきました。今日は、私が実際に調べて整理した改正ポイントを共有します。
改正育児・介護休業法とは?2025年に2段階で施行

今回の改正は、2025年4月1日と2025年10月1日の2段階に分けて施行されています。子育て中のクルー・介護をしているクルー、どちらにも関わる内容で、「大企業だけの話」ではなく従業員数に関係なく、ほぼすべての事業主が対象になる改正です。
ここが最初に私が勘違いしていたポイントでした。「育休取得率の公表義務」のような一部の規定は従業員300人超の企業が対象ですが、子の看護休暇や介護休暇に関するルールは、店舗の規模を問わず適用されるんです。
①「子の看護休暇」が「子の看護等休暇」に拡大

まず大きく変わったのが、子の看護休暇です。名称も「子の看護等休暇」に変わり、対象や取得できる理由が広がりました。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 対象となる子の年齢 | 小学校就学前まで | 小学校3年生修了まで |
| 取得できる理由 | 病気・けが、予防接種、健康診断 | 左記に加え、感染症による学級閉鎖等、入園(入学)式・卒園式 |
うちのクルーさんのように、小学生になったお子さんが学級閉鎖で休むケースなど、これまでは対象外だった理由でも休暇を取れるようになった、というわけです。
実際に取得するときの流れ|申請はどこにする?
冒頭のクルーさんのケースのように、「小学1年生の子どもが学級閉鎖で3日間休む」という場合、実際どう手続きすればいいのか気になりますよね。私も最初、ハローワークか役所に何か届け出るのかと身構えていたのですが、そんなことはありませんでした。
申請先は会社(オーナー)だけです。育児休業給付金のように雇用保険からお金が出る制度ではないので、外部の行政機関への届出は一切不要。クルーさんがオーナーに「子の看護等休暇を使いたいです」と伝えれば、それで手続きは完了します。
申し出の方法にも決まった書式はありません。厚労省の解説でも「当日の電話連絡でも取得できる」とされていて、学級閉鎖のような急な休みを想定した制度だとわかります。うちでは口頭で申し出てもらい、あとから簡単な申請メモを残す運用にしています。
取得できる日数は、小学校3年生修了までの子が1人なら年5日、2人以上なら年10日。1日単位でも時間単位でも取得できるので、3日間休むなら、この年間の枠から3日分を消化する形になります。
給与計算では、この休暇を単純な「欠勤」として扱わないよう注意が必要です。「子の看護等休暇」として区別して記録しておかないと、皆勤手当や査定に影響してしまうことがあります。有給にするか無給にするかは会社の判断ですが、法律上は無給でも構いません。産休のように保険からお金が補填される仕組みはないので、無給にする場合はその点もクルーさんにきちんと伝えておくと親切だと思います。
②残業免除の対象が小学校就学前まで拡大
これまで3歳未満の子を養育する従業員が対象だった「所定外労働の制限(残業免除)」の請求範囲が、小学校就学前の子を養育する従業員まで広がりました。クルーから請求されたら、事業主は原則として残業をさせることができません。
シフト制で回している店舗だと、「残業免除の対象かどうか」を把握しておかないと、知らずに法令違反のシフトを組んでしまうリスクがあります。対象になるクルーがいないか、一度確認しておくと安心です。
③介護休暇の取得要件が緩和|入社半年未満のクルーも対象に

介護に関しても見逃せない改正がありました。これまでは労使協定を結べば「入社6か月未満の労働者」を介護休暇の対象から除外できましたが、この除外規定が廃止されました。つまり、入ったばかりのクルーでも、介護休暇を請求できるようになったということです。
あわせて、家族の介護に直面したクルーに対して、事業主が制度の内容を個別に周知し、利用の意向を確認することが義務化されました。「介護休暇があることを知らなかった」という状態を防ぐための改正です。
④テレワークの導入が努力義務に
3歳未満の子を養育する従業員、および家族を介護する従業員に対して、テレワークを選択できるようにする措置が努力義務として追加されました。飲食店の現場は当然テレワークになじみませんが、事務作業を兼ねているオーナーやマネージャー層の働き方を見直すきっかけにはなりそうです。
雇用保険・社会保険に入っていないクルーは対象外?
ここまで読んで、「じゃあ社会保険に入っていないパートさんは対象外なんですか?」と聞かれることがあります。私も最初、そこを混同していました。
結論から言うと、子の看護等休暇・残業免除・介護休暇を取れるかどうかは、雇用保険・社会保険に加入しているかどうかとは関係ありません。日々雇用など一部を除けば、パート・アルバイトのクルーも原則として対象になります。これらの休暇は法律上「無給でもよい」制度なので、そもそも保険から給付が出る仕組みではないんです。
混同しやすいのは、休業中にお金がもらえるかどうかの話です。こちらは加入している保険によって決まります。育休中の育児休業給付金は雇用保険から、産休中の出産手当金(#63の記事)や社会保険料免除は健康保険・厚生年金(社会保険)から支給されるので、それぞれ未加入だと対象外になります。
「休暇を取る権利」と「休業中に給付金が出るか」は別の制度、別の判定基準です。ここを分けて理解しておくと、クルーから質問されたときにも迷わず答えられると思います。
「うちは小さいから関係ない」は通用しない

今回一番驚いたのは、これらの改正のほとんどに従業員数の下限がないということでした。育休取得率の公表義務のように大企業だけが対象の規定もありますが、子の看護等休暇・残業免除の拡大・介護休暇の要件緩和は、クルー数人だけの店舗でも対象になります。
「うちは数十人規模だから大丈夫」ではなく、むしろ人事担当者がいない小規模店舗ほど、オーナー自身が正しく理解して就業規則に反映させておく必要があると痛感しました。
小規模FCオーナーが今すぐやるべきこと
- 就業規則(育児・介護休業規程)の見直し……対象年齢や取得理由の変更をきちんと反映できているか確認する
- 労使協定の見直し……介護休暇の「入社6か月未満除外」を定めている協定があれば削除する
- 対象クルーへの周知……制度が変わったことをクルーに伝え、育児・介護に直面した際は個別に意向確認をする
- シフト作成担当への共有……残業免除・看護等休暇の対象者を把握し、シフトに反映する
就業規則の改定というと大掛かりに聞こえますが、育児・介護休業規程の部分だけを見直すのであれば、それほど時間はかかりません。むしろ後回しにして、いざクルーから相談されたときに規程が古いままだと、対応に慌ててしまいます。私自身、聞かれてから調べ始めて冷汗をかいたので、みなさんには先に確認しておくことをおすすめします(笑)
📋 就業規則・育児介護休業規程の見直し、まとめてご相談ください
AILLコンサルティングでは、ほっともっとオーナー向けに就業規則の改正チェック・育児介護休業規程の整備をサポートしています。「どこを直せばいいかわからない」という段階でもお気軽にどうぞ。
まとめ
- 改正育児・介護休業法は2025年4月・10月の2段階で施行。多くの規定は従業員数を問わず全事業主が対象
- 子の看護休暇は「子の看護等休暇」に名称・対象拡大。小学校3年生まで、学級閉鎖等の理由も追加
- 残業免除の対象が3歳未満から小学校就学前まで拡大
- 介護休暇は入社6か月未満のクルーも取得可能に。介護に直面した際は個別の周知・意向確認が義務化
- 「小さい店舗だから関係ない」ではなく、就業規則・労使協定の見直しを今のうちに