「算定基礎届って何をする手続き?標準報酬月額の仕組みをオーナー目線で解説」AILLコンサルティング 労務管理#022

年度更新の申告を終えてほっとしたのも束の間、7月に入ると次に控えているのが「算定基礎届」です。

「2つとも7月10日が締め切りなんて、まぎらわしい」——そう感じているオーナー、多いと思います。私もそうです(笑)

年度更新と算定基礎届は対象になる保険がまったく違うのですが、締め切りが重なるせいで「めんどくさそうな2種類の届出」という認識になりがちです。前回の年度更新記事とセットで読むと6〜7月の手続きの全体像が見えてくるので、今回は算定基礎届の仕組みをきちんと整理します。


そもそも「標準報酬月額」って何?

算定基礎届の書類を前に悩むほっともっとオーナーのイメージ

算定基礎届を理解するには、まず「標準報酬月額」を知る必要があります。

標準報酬月額とは、社会保険料(健康保険・厚生年金)の計算基準となる、月収の等級区分のことです。実際の月収をそのまま使うのではなく、区分された等級に当てはめて計算する仕組みになっています。

例を挙げます。あるクルーの4〜6月の月収平均が22万3千円だったとします。このとき、標準報酬月額の等級表に当てはめると22万円という等級が適用され、この金額をもとに健康保険料と厚生年金保険料が計算されます。月収が少し上下しても、等級が変わらなければ保険料は変わりません。

このように等級に当てはめる理由は、毎月わずかに変わる給与のたびに保険料を計算し直す手間を省くためです。合理的な仕組みですよね。


なぜ毎年「算定基礎届」が必要なの?

等級は一度決まったら変わらないのでしょうか?そうではありません。

給与は、その人の生活スタイル、昇給・時間外手当の増減・手当の変更などで、毎年変動します。そのままだと、実態と保険料がずれてしまいます。そこで年に1度、実態に合わせてリセットする機会が設けられています。それが算定基礎届です。

具体的な流れは次のとおりです。

時期 内容
4〜6月 この3ヶ月間の実際の報酬を集計する(届出の元データ)
7月1日〜10日 算定基礎届を作成して年金事務所へ提出する
9月1日〜 新しい標準報酬月額が適用される(翌年8月31日まで)

4〜6月の報酬を使う理由は、この時期が昇給のタイミングと重なりやすいからです。春の改定や繁閑の変化を反映して、標準報酬月額を見直す期間になっています。


誰が対象になるの?

算定基礎届の対象は、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入している被保険者です。

飲食業のフランチャイズ店では、次のクルーが加入対象の目安になります。

  • 正社員・常勤スタッフ
  • 週の所定労働時間・月の所定労働日数が正社員の4分の3以上のパート・アルバイト
  • 法人(合同会社・株式会社)として運営している場合、代表者本人

「ウチはパートばかりだから関係ない」と思いがちですが、週30時間以上働くパートや要件を満たすアルバイトは対象です。また、合同会社や株式会社でお店を運営しているオーナー自身も社会保険の被保険者になるため、自分自身の分も忘れずに手続きが必要です。個人事業主の場合はオーナー本人は対象外ですが、要件を満たすクルーがいれば届出は必要です。


具体的に何をするの?

4〜6月の給与データを確認するほっともっとオーナーのイメージ

算定基礎届の作業は、大きく5つのステップです。

① 4〜6月の報酬を集計する

対象クルーごとに、4月・5月・6月それぞれの報酬額を確認します。ここで重要なのが「支払基礎日数」です。月の途中で入退社した場合や欠勤が多かった月は、支払基礎日数が17日未満になることがあります。17日未満の月は算定から除外します。

② 報酬の平均額を計算する

集計した月の報酬を合計し、集計した月数で割って平均額を出します。3ヶ月すべてで算定する場合は合計額 ÷ 3 です。除外した月がある場合は、残った月数で割ります。

③ 標準報酬月額表に当てはめる

算出した平均額を、日本年金機構が定める標準報酬月額の等級表に当てはめます。各等級には下限・上限の範囲があり、平均額が該当するレンジの等級が新しい標準報酬月額になります。

④ 算定基礎届を作成する

「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届」を作成します。書類は毎年5月下旬〜6月上旬に年金事務所から郵送されてきます。電子申請(e-Gov)での手続きも可能です。

⑤ 年金事務所へ提出する

作成した届出書を所轄の年金事務所に提出します。提出期限は7月10日です。

💡 支払基礎日数は「17日以上」が基本

勤務日数17日以上が算定対象の月になります。出勤日数は必ず確認しましょう。パートタイム(週所定労働時間が短い)従業員は11日以上が基準になるケースもあります。


報酬に「含む・含まない」を整理する

算定に使う「報酬」の範囲は、給与明細の全項目を足し合わせるわけではありません。含むもの・含まないものを整理しておくと、迷いが減ります。

区分 主な項目
報酬に含む 基本給、時間外手当、通勤手当、家族手当、住宅手当、皆勤手当 など毎月支払われる賃金
報酬に含まない 3ヶ月を超える周期で支払われる賞与・臨時手当、退職金、見舞金 など

特に注意が必要なのが通勤手当です。所得税の計算では非課税扱いになりますが、社会保険の算定では報酬に含めるルールになっています。年末調整や給与計算と「同じ感覚」で処理すると間違えやすい部分なので、注意しましょう。


自分でやるとどこが大変か

私は算定基礎届も自分でやっていますが、実際に経験してみて感じる「大変なポイント」を正直にお伝えします。

① 報酬の範囲の判断に毎年迷う

通勤手当を含めるのかどうか、特別手当はどう扱うか——毎年「これで合っているか?」と不安になります。年度更新の「賃金総額」とも項目が微妙に違うので、混同しやすいです。「きちんと確認して書く」のがストレスです。

② 支払基礎日数の確認が地味に手間

4月や6月は閑散期、5月はゴールデンウィーク、ほっともっとでは出勤日数にばらつきが出やすいです。「この月は17日以上あるか?」を1人ずつ確認する作業が発生します。数人であれば短時間ですが、従業員数が多いと積み重なります。

③ 届出書のフォーマットが独特

算定基礎届の書式は、月ごとに報酬額・支払基礎日数を記入し、平均を出し、等級を記載するというフォーマットです。他の書類とは書き方の流れが違うため、初見では戸惑います。年に1回しかやらないので、毎年「どこに何を書いたっけ」という状態になるのは年度更新と同じです。


スポット代行という選択肢

スポット代行で算定基礎届の手続きが楽になるオーナーのイメージ

「年度更新と算定基礎届、どちらも7月10日が締め切りなんてしんどい」——そう感じているオーナーのために、AILLコンサルティングでは両手続きのスポット代行を提供しています。

サービス 内容 受付期間 料金(税込)
年度更新 スポット代行 賃金集計の確認・申告書の作成・労働基準監督署への届出 6月1日〜7月10日 19,800円
算定基礎届 スポット代行 標準報酬月額の計算・届出書の作成・年金事務所への届出 7月1日〜7月10日 19,800円

顧問契約なしで単発依頼できるので、「毎年これだけお願いしたい」という使い方にちょうど合っています。2つセットで依頼すると、6〜7月の書類手続きをまとめて任せられます。


こんなオーナーにおすすめ

  • 社会保険の手続きに慣れておらず、書き方に毎年迷っている
  • 通勤手当や各種手当の取り扱いに自信がない
  • 支払基礎日数の確認など細かい作業が手間に感じる
  • 年度更新と算定基礎届、どちらもまとめて任せたい
  • 給与計算代行と合わせて、労務まわりを一括で外注したい

「今年は算定基礎届も誰かに任せてみようかな」と思ったら、ご相談ください。期限直前は対応が込み合うことがありますので、早めにお声がけいただけると確実に対応できます。

📋 算定基礎届・年度更新のスポット代行、受け付けています

「どちらもまとめて頼みたい」「給与計算代行と一緒に依頼できる?」——まずはお気軽にご相談ください。受付期間・料金・必要書類をご案内します。

▶ 無料相談はこちら

まとめ

  • 算定基礎届は、社会保険料の計算基準となる「標準報酬月額」を年1回見直す手続き
  • 4〜6月の実際の報酬をもとに平均を計算し、等級表に当てはめて新しい標準報酬月額を決定する
  • 新しい標準報酬月額は9月1日から翌年8月31日まで適用される
  • 対象者は社会保険の被保険者。正社員、条件を満たすパートに加え、法人のオーナー自身も含む
  • 作業の流れは①報酬集計 → ②平均計算(支払基礎日数17日以上の月のみ)→ ③等級決定 → ④届出書作成 → ⑤年金事務所へ提出
  • 通勤手当は所得税では非課税だが、社会保険の算定では報酬に含める点に注意
  • 届出先は所轄の年金事務所e-Gov電子申請も可)。期限は7月10日
  • 年度更新(労働保険)とは別の手続き。年度更新の詳細は前の記事で解説しています
  • AILLコンサルティングでは各19,800円(税込)のスポット代行を受け付けています