毎年6月になると、頭の片隅にちらつくものがあります。
「……年度更新の時期だ」
私自身、年度更新を毎年自分でやっています。毎年やっているのに、毎年書き方がうろ覚えで、一から調べ直すところから始まります。「去年どうやったっけ」と昨年の書類を引っ張り出して、首をかしげながら記入する——これ、毎年繰り返しています(笑)。
「そもそも年度更新って何のための手続きなのか、正直よくわかっていない」というオーナーも多いのではないでしょうか。毎年期限が来るから対応している、という感じで。
今回は、年度更新とは何か・なぜ毎年必要なのか・何をすればいいのかを基礎から解説します。仕組みがわかると、毎年の作業が少し整理できます。
そもそも「労働保険」って何?

年度更新は「労働保険料」の手続きです。まず前提として、労働保険とは何かを整理します。
労働保険とは、雇用保険と労災保険の2つをまとめた呼び名です。
| 保険 | 目的 | 主な給付の例 |
|---|---|---|
| 雇用保険 | 失業・休業時の生活保障 | 失業給付、育児休業給付、介護休業給付など |
| 労災保険 | 業務上・通勤中のケガ・病気の補償 | 療養補償、休業補償、障害補償など |
どちらも、スタッフが安心して働くためのセーフティネットです。雇用保険は事業主とスタッフの双方が保険料を負担しますが、労災保険の保険料は全額事業主負担です(スタッフへの天引きはありません)。
フランチャイズ店のような飲食業では、週20時間以上働くアルバイト・パートも雇用保険の加入対象になります。「ウチはパートばかりだから関係ない」ということはありません。
なぜ毎年「年度更新」が必要なの?
仕組みを理解するのが、この手続きを整理するいちばんの近道です。
労働保険料は、1年分の保険料を前払いする制度になっています。ただし、1年が始まる前に「今年の賃金総額がいくらになるか」は正確にはわかりません。そこで次のような流れで処理します。
| 申告の種類 | 内容 | 対象期間 |
|---|---|---|
| 確定保険料 | 前年度の実際の賃金総額をもとに保険料を計算し、前年に払った概算との差額を精算する | 前年4/1〜当年3/31 |
| 概算保険料 | 今年度の見込み賃金総額をもとに保険料を計算し、今年分を前払いする | 当年4/1〜翌年3/31(見込み) |
この2つをどちらも年度更新の期間(6月1日〜7月10日)にまとめて申告・納付します。つまり年度更新とは、「去年の精算」と「今年の前払い」を1度の手続きで同時に行うものです。
具体的なイメージとして、昨年「賃金総額は1800万円になる見込み」で保険料を前払いしていたとします。ところが蓋を開けてみると実際は1700万円だった場合、100万円分を払いすぎていたことになります。この過払い分は今年の概算保険料に充当(または返還)されます。逆に実際の賃金が見込みを上回っていれば、差額を追加で納めることになります。
具体的に何をするの?

年度更新の作業は、大きく分けて5つのステップです。
① 賃金総額の集計
前年4月1日〜当年3月31日の1年間に、スタッフ全員に支払った賃金をすべて集計します。正社員・パート・アルバイトを問わず対象です。基本給や残業代はもちろん、通勤手当や家族手当なども含まれます。
一方で、以下は賃金総額に含みません:
- 退職金(退職時に支払われる一時金)
- 役員報酬(経営者自身への報酬)
- 傷病手当金など法定給付
② 確定保険料の計算
集計した賃金総額に、業種ごとに定められた「労災保険料率」と「雇用保険料率」をかけて、本来の保険料(確定保険料)を算出します。料率は業種や年度によって変わるため、毎年確認が必要です。
③ 概算保険料の計算
今年4月1日〜翌年3月31日の見込み賃金総額を見積もり、今年度の概算保険料を計算します。見込みが前年と大きく変わらなければ、昨年の確定賃金額をそのまま使っても構いません。
④ 申告書の作成
「労働保険概算・確定保険料申告書」に上記の数字を記入します。書式は毎年5月下旬〜6月上旬に労働基準監督署から郵送されてきます(電子申請の場合は不要)。
⑤ 届出と保険料の納付
作成した申告書を提出し、精算後の保険料を納めます。提出先は所轄の労働基準監督署または、電子申請(e-Gov)での手続きも可能です。
💡 締め切りは毎年7月10日
年度更新の申告・納付期限は6月1日〜7月10日です。この期限を過ぎると追徴金・延滞金が発生する場合があります。「また今年もバタバタして期限ギリギリ」という繰り返しを避けるためにも、早めに動き始めることをおすすめします。
算定基礎届とはどう違うの?
同じ時期に重なるので混同しがちですが、年度更新と算定基礎届は別の手続きです。
| 手続き | 対象の保険 | 届出先 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 年度更新 | 労働保険 (雇用保険+労災保険) |
労働基準監督署 | 7月10日 |
| 算定基礎届 | 社会保険 (健康保険+厚生年金) |
年金事務所 | 7月10日 |
算定基礎届は、4〜6月の給与をもとに「標準報酬月額」を年に1度見直す手続きです。仕組みや注意点については次の記事で詳しく解説します。
2つの手続きが毎年7月10日に重なるため、6〜7月は書類に追われることになりがちです。
自分でやるとどこが大変か
私が毎年自分でやってみて感じる「大変なポイント」を正直にお伝えします。
① 書き方が毎年うろ覚えになる
年に1回しかやらない手続きなので、書式に慣れません。賃金総額の集計方法、端数処理のルール、保険料率の確認——細かい部分で「これで合ってるのか?」という不安を抱えながら記入するのが毎年のことです。特に保険料率は年度ごとに改定されるため、去年のやり方をそのまま使えないケースもあります。
② 1年に1回だから翌年には忘れている
昨年の書類を見ながら「去年はこうやったのか」と確認するところから始まる——これが毎年の流れになっている方、多いのではないでしょうか。制度が少しずつ変わっているので、昨年の書類を参考にしながらも「今年は違う可能性がある」と調べ直す手間が発生します。
③ 窓口への往復時間がかかる
私は昨年からWEB申請(e-Gov)を使い始めました。それまでは窓口に行っていたので、往復の移動だけで約2時間かかっていました。WEB申請に切り替えてからその2時間が丸々浮いたのは助かっています。ただ、WEB申請にしても「書き方がわからない」問題は変わらないので、そこは毎年悩みながら対応しています。
スポット代行という選択肢

「社労士と顧問契約するほどではないけど、ここだけ誰かに任せたい」——そういうオーナーのために、AILLコンサルティングではスポット代行サービスを提供しています。
| サービス | 内容 | 受付期間 | 料金(税込) |
|---|---|---|---|
| 年度更新 スポット代行 | 賃金集計の確認・申告書の作成・労働基準監督署への届出 | 6月1日〜7月10日 | 19,800円 |
| 算定基礎届 スポット代行 | 標準報酬月額の計算・届出書の作成・年金事務所への届出 | 7月1日〜7月10日 | 19,800円 |
顧問契約と違い、単発で依頼できます。「毎年この手続きだけ面倒」という方にちょうどいい使い方です。
2つセットで依頼すると、6〜7月の書類手続きをまるごと任せられます。私自身が毎年感じている「書き方がわからない・調べ直す」という時間と手間を、丸ごと外注できるイメージです。
こんなオーナーにおすすめ
- 毎年この時期に書き方を調べ直している
- 窓口への往復時間が惜しい
- 計算が合っているか不安なまま提出している
- 社労士と顧問契約するほどではないが、年1回だけ頼みたい
- 給与計算代行と合わせて、労務手続きをまとめて任せたい
「今年こそプロに任せてみようかな」と思ったら、受付期間が始まる前に一度ご連絡ください。締め切り直前は混み合うこともありますので、早めにご相談いただけると確実に対応できます。
📋 年度更新・算定基礎届のスポット代行、受け付けています
「今年は任せてみたい」「給与計算代行と合わせて依頼できる?」——まずはお気軽にご相談ください。受付期間・料金・必要書類をご案内します。
まとめ
- 年度更新は「前年の保険料精算(確定)+今年の保険料前払い(概算)」を同時に行う手続き
- 労働保険は雇用保険と労災保険の総称。フランチャイズ店はパート・アルバイト含めて対象
- 作業の流れは①賃金集計 → ②確定保険料の計算 → ③概算保険料の計算 → ④申告書の作成 → ⑤届出・納付
- 提出先は所轄の労働基準監督署、WEB申請(e-Gov)も可。期限は7月10日
- 年1回しかやらない手続きなので書き方を忘れる・調べ直すのは当然。自分だけではない
- 算定基礎届(社会保険)とは別の手続き。算定基礎届の詳細は次の記事で解説します
- AILLコンサルティングでは各19,800円(税込)のスポット代行を受け付けています