「キャリアアップ助成金(正社員化コース)|ひとり親は最大80万円に」AILLコンサルティング ブログ#057

「正社員化コースって80万円もらえるんですよね?」

最近、オーナーさんからこんな質問をいただきました。以前このブログでも正社員化コースについて書きましたが(「正社員化コースとは?パートを正社員にするだけで80万円」)、実は令和8年度の制度改正で、受給額の仕組みが大きく変わりました

結論から言うと、「正社員化すれば誰でも80万円」ではなくなっています。でもその代わり、ひとり親(母子家庭の母・父子家庭の父等)のクルーは、勤続年数を問わず最大80万円の対象になるという、見逃せないポイントができました。今回はこの仕組みを整理します。


正社員化コースのキホン(おさらい)

正社員化コースの受給額区分を説明するほっともっとオーナーのイメージ

正社員化コースは、有期雇用(パート・アルバイト)のクルーを正社員に転換すると受け取れる助成金です。就業規則に正社員転換の規定を明記し、事前に計画書を提出したうえで転換、その後6ヶ月分の賃金を3%以上増額して支払う——という基本的な流れはこれまでと同じです。

変わったのは受給額の部分です。令和8年度から、対象者が「重点支援対象者」と「その他」の2区分に分かれ、金額に差がつくようになりました。


令和8年度から「重点支援対象者」区分ができた

区分 中小企業 支給の分け方
重点支援対象者 80万円 40万円×2期(6ヶ月後・12ヶ月後)
その他 40万円 1期のみ(6ヶ月後)

大企業はそれぞれ75%の金額になります。同じ「正社員化」でも、対象者の区分によって受給額が2倍違うんです。この違いを知らないまま「正社員化コース=80万円」だと思い込んで計画を立てると、見込みが外れてしまうこともあります。


重点支援対象者ってどんな人?

ひとり親のクルーが正社員化コースの重点支援対象者に該当するイメージ

重点支援対象者にあたるのは、次のいずれかに該当する有期雇用労働者です。

  • 雇入れから3年以上継続して就業しているクルー
  • 雇入れから3年未満でも、過去5年間の正規雇用期間が通算1年以下かつ、過去1年間正規雇用されていない人
  • 派遣労働者、母子家庭の母・父子家庭の父等(いわゆるひとり親)、特定訓練修了者など

ここで注目してほしいのが3つ目です。ひとり親のクルーは、勤続年数に関係なく重点支援対象者に該当します。つまり、入社してまだ1年に満たないクルーであっても、ひとり親であれば80万円の対象になるということです。長く勤めてくれた人だけが優遇される仕組みではなく、「今まさに支援が必要な人」にも手厚く設計されている、と捉えるとわかりやすいと思います。

飲食店の現場では、シングルマザー・シングルファザーのクルーさんと一緒に働いているオーナーさんも多いはずです。「勤続年数が短いから正社員化コースは使えない」と最初から諦めてしまうのは、正直もったいないです。


【ケース比較】同じ正社員化でも受給額はこんなに違う

3人のクルーの正社員化受給額を比較検討するほっともっとオーナーのイメージ

イメージしやすいように、3つのケースで比較してみます。

クルー 状況 区分 受給額
Aさん 勤続4年のクルー 重点支援対象者(3年以上勤続) 80万円
Bさん 勤続8ヶ月・ひとり親 重点支援対象者(ひとり親) 80万円
Cさん 勤続2年・上記いずれにも非該当 その他 40万円

AさんとBさんは勤続年数がまったく違いますが、どちらも重点支援対象者として同じ80万円です。一方Cさんは、勤続年数だけで見るとBさんより長いのに、重点支援対象者の条件に当てはまらないため40万円にとどまります。勤続年数だけで判断せず、一人ひとりの状況を確認することが大事だとわかっていただけると思います。


加算措置を組み合わせるとさらに増える

加算措置を含めた助成金額をノートパソコンで試算するほっともっとオーナーのイメージ

正社員化コースには、基本額に上乗せできる加算措置もあります。

加算項目 内容 加算額(中小企業)
正社員転換制度新規規定加算 新たに正社員転換制度を規定・実施 20万円
多様な正社員制度加算 勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を新規規定・実施 40万円
情報公表加算 職場情報サイトに処遇改善の取組を公表 20万円

重点支援対象者の80万円に、この3つの加算をすべて組み合わせると、1人あたり160万円まで積み上がる計算になります(1事業所あたりの上限には注意が必要です)。就業規則の整備や情報公表は、多少の手間はかかりますが、一度やってしまえば以降の正社員化すべてに効いてくる仕組みです。「どうせ整備するなら、加算まで取りに行く」という発想で検討する価値はあると思います。


申請するときに気をつけたいポイント

実務で特に気をつけたいのは、次の3点です。

①ひとり親であることの確認
本人の申告だけでなく、児童扶養手当証書など裏付けとなる書類の確認が必要になるケースがあります。プライベートな事情に踏み込む話でもあるので、本人の同意を得たうえで、事前にハローワークへ相談しながら進めるのが安心です。

②区分の見立てを先にしておく
「このクルーは重点支援対象者に当たるのか、その他なのか」は、計画書を提出する前の段階で確認しておきたいところです。転換してから「実は対象外だった」と気づくと、計画自体を見直すことになりかねません。

③就業規則と計画書は転換前に
ここは以前の記事でもお伝えした通り変わっていません。就業規則への転換規定の明記と、計画書の事前提出は必須です。正社員化してから慌てて準備しても間に合いません。

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AILLコンサルティングでは、ほっともっとオーナー向けに正社員化コースの対象者判定・受給額シミュレーションを承っています。ひとり親のクルーの正社員化を検討している方も、まずはお気軽にご相談ください。

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まとめ

  • 令和8年度から正社員化コースは「重点支援対象者(80万円)」と「その他(40万円)」の2区分に分かれた
  • 重点支援対象者は3年以上勤続、または母子家庭の母・父子家庭の父等(ひとり親)などが該当し、ひとり親は勤続年数を問わず対象になる
  • 勤続年数だけで判断すると受給額を見誤ることがあるため、一人ひとりの状況を確認することが大事
  • 加算措置(正社員転換制度・多様な正社員制度・情報公表)を組み合わせると、1人あたり最大160万円まで積み上がる
  • 就業規則の整備・計画書の事前提出という基本ルールは従来通り必須