「紐のねじれは心のねじれ 動線の乱れは心の乱れ」AILLコンサルティング 代表コラム#030

エプロンのひも、ちゃんと結べていますか?

「そんな細かいこと…」と思いますか? 私はほっともっとでアルバイトから始まり、直営店店長・エリアマネージャー・フランチャイズオーナーと25年キャリアを積んできました。その経験のなかで気づいたことがあります。

うまく回っている店は、エプロンの紐も動線も、整っている。

逆に、お客様のクレームが続いたり、クルーが定着しない店は、決まって「小さな乱れ」が積み重なっています。

今日はそんな経験から、整えることの本質について書いてみます。


エプロンのひもを整えるほっともっとクルーのイメージ

① エプロンの紐がねじれている店は、他もねじれ気味

ある時期、私が担当していた店舗でクレームが多発していました。「小袋が付いていない」「肉が焦げている」「予約したのに出来ていない」……。内容はバラバラでしたが、全部で月に5件を超えていました。

原因を探ろうと、昼ピーク前に厨房をじっくり見回しました。そこで目に入ったのが、クルーのエプロンでした。

紐がくるくるとねじれたまま後ろで結ばれていて、エプロンもボロボロ。

「あ、これだ」と直感しました。

エプロンの紐がねじれているということは、細かいところまで意識出来ていない。意識出来ていないクルーは、作業も適当になっている。お弁当の品質も、接客も、掃除も——すべてが「テキトー」になっていく。

紐のねじれは心のねじれ。些細なことかもしれませんが、仕事への思いは細部に表れます。


厨房の動線を確認するほっともっとオーナーのイメージ

② 動線の乱れは、チームの乱れのサインだった

同じ時期、厨房の動線も気になっていました。

本来ならば、ライス担当・フライヤー担当・ガス担当・カウンター担当と、スムーズに流れるべき動線が、クルーが交差しながら動いている。「ちょっとごめん」「あ、すみません」という声が飛び交い、ピーク時には厨房が渋滞状態でした。

なぜそうなっていたのか。原因のひとつは、商材の置き場所がいつの間にかズレていたことでした。

容器や小袋、バックヤードや冷凍庫内の商材——「とりあえずここに置いておこう」が積み重なって、気づけば「定位置」が消えていた。誰も悪気はない。でも結果として、動線が乱れ、クルー同士が交差し合い、ピークタイムのリズムが崩れていた。

動線が乱れると心が乱れ、クルーは余計なことを考える時間が増えます。考える時間が増えると、集中力が切れる。集中力が切れると、ミスが増える。ミスが増えると、クルー同士がピリピリしてくる。

動線の乱れは、店舗の空気の乱れにそのままつながっていたんです。


③ 「整える」ことは、チームへの愛情表現だと気づいた

対策として私がやったことは、難しいことではありませんでした。

まず「エプロンの紐はねじれずにまっすぐ結ぼう」と話した。「紐がねじれていると、気持ちもねじれていくから」と伝えました。

次に、商材の定位置を再確認しました。今の提供商品では、どこに何があるのがベストか。

そして毎日、ピーク前の5分間、厨房を歩いて「今日の動線に乱れはないか」を確認するようにしました。

1週間後、クレームはほぼゼロになっていました。

何かすごい改革をしたわけじゃない。ただ「小さな乱れ」を見つけて、丁寧に整えただけ。でもその積み重ねが、クルーの心に「この店はちゃんとしている」という安心感を生んだんだと思います。

エプロンの紐を整えることは、働くクルーへの「あなたのことをちゃんと見ている」という愛情表現でもある。そう気づいてから、私の店舗マネジメントは大きく変わりました。


④ 今日から使える「整え習慣」3つ

長年の現場経験から、今すぐできる「整え習慣」を3つ紹介します。FC経営をされている方も、店長さんも、ぜひ取り入れてみてください。

整え習慣① エプロンの「ひも確認」を習慣にする

出勤時、クルー全員のエプロンをお互いに確認し合う。「紐ねじれてない?」と声をかけ合うことで、チームのコミュニケーションが自然と生まれます。些細なことですが、「今日も整って始めよう」という意識の共有になります。

整え習慣② 商材の定位置を「見える化」する

ラベルや一覧表で「ここが定位置」を明示する。新人クルーが入ってもすぐわかる状態を作ること。これだけで動線のロスが大幅に減ります。ポイントは「いつ、誰がやっても同じ状況」にしておくことです。

整え習慣③ ピーク前の「5分巡回」を取り入れる

アイドルタイムなど、忙しくなる前のタイミングで、店長かベテランクルーが厨房・カウンターを一周する。定位置に戻っていない商材・ひっかかりそうなコードや紐——目に入ったものをその場で整える。これを毎日続けると、「乱れに気づく目」が店舗全体に育っていきます。


まとめ:小さな乱れを見逃さない店が、強い店になる

「紐のねじれは心のねじれ 動線の乱れは心の乱れ」

これは私がほっともっとの現場で学んだ、25年分の実感です。

店舗経営において、大きな問題はたいてい「小さな乱れ」が積み重なって起きます。逆に言えば、小さな乱れを早期にキャッチして整える習慣がある店は、大きな問題が起きにくい。

エプロンの紐一本。商材の置き場所ひとつ。そんなことで?と思うかもしれません。でも、その「そんなこと」を丁寧に扱える店長・オーナーがいる店は、クルーも、お客様も、気持ちよく過ごせる場所になっていきます。

ぜひ今日、お店の「小さな乱れ」を探してみてください。そこにヒントが隠れているかもしれません。

AILLコンサルティング 代表 藍 辰徳

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