「あの子、コミュ力あるからカウンター向いてると思うんですよね」
採用面接や配置を考えるとき、こう言われることがよくあります。でも私は、この考え方には少し注意が必要だと感じています。
前回の記事(#59)では、ほっともっとの5つのポジションそれぞれに求められる性格・特性の全体像を整理しました。今回はその第1弾として、「カウンター」に絞って、向いている人・向いていない人の見極め方、実際の仕事内容、そして現場での教え方まで、もう少し深掘りしてみたいと思います。
カウンターに向いてる人・向いてない人

カウンターというと「話すのが得意な人」「人懐っこい人」が向いていると思われがちです。でも実際に何百人ものクルーを見てきて感じるのは、コミュニケーション能力の高さよりも、正確さと落ち着きの方がずっと大事だということです。
お客様と話すのが上手でも、注文を聞き間違えたり、会計でお金を数え間違えたりすれば、それはミスとしてお客様に伝わってしまいます。逆に口数が少なくても、注文を一つひとつ確実に処理し、忙しい時間帯でも手元が乱れない人は、結果として「安心して任せられる」カウンタークルーになっていきます。
反対に、カウンターで苦戦しやすいのは感情が表に出やすいタイプです。忙しさやお客様からのクレームがあったとき、焦りやイライラがそのまま顔や態度に出てしまう。本人に悪気がなくても、それがお客様の目に入れば「感じが悪い店」という印象につながってしまいます。カウンターはお客様と直接向き合う「店の顔」なので、感情の波がそのまま店の評価に直結しやすいポジションなんです。
能力が高い・低いという話ではなく、感情を業務中にどれだけコントロールできるか。これが、カウンターに向いているかどうかを分ける一番のポイントだと感じています。
面接の場では、コミュ力の高さはどうしても目立ちます。よく話し、よく笑うクルーは「接客向きだな」と印象に残りやすいですよね。でも実際に現場に立ってもらうと、忙しい時間帯でも淡々と処理を続けられるクルーの方が、結果としてお客様からのクレームが少なく、長く安定して活躍してくれる傾向があります。配置を決めるときは、面接での印象だけでなく、実際の業務の中での落ち着き方を見るようにしています。
カウンターの仕事内容

カウンターの仕事は「レジ打ち」だけだと思われがちですが、実際にはいくつもの作業が連続しています。大きく分けると、レジ操作・商品提供・レジ点検・サイドメニュー管理・清掃です。
接客の中心はレジでの注文対応です。タブレットのレジ画面には多くの商品が並んでいて、お客様の注文を聞きながら該当のボタンを素早く探し出す必要があります。次に、金額を正しく計算し、現金やキャッシュレス決済、クーポンなどを間違いなく処理する。そして最後に、商品を袋に詰めて、崩れないようお客様にお渡しする。この一連の流れを、行列ができていても崩さずにこなすのがカウンターの仕事です。
特に会計は、お金を直接扱う工程なので、一番ミスが許されない部分です。ここで正確さが崩れると、レジ差異やお客様とのトラブルにつながってしまいます。「話す力」よりも「一つずつ確実にこなす力」が求められる理由は、この工程の性質にあると思っています。
レジでの接客が落ち着いている時間帯には、豚汁やサラダといったサイドメニューの仕込み・補充、レジ点検(釣り銭や売上の確認)、店内の清掃もカウンター担当の仕事になります。行列ができる時間帯はレジ対応に集中し、落ち着いた時間帯は仕込みや点検・清掃にあてる——この切り替えができることも、カウンターに求められる力の一つです。
カウンターの仕事の教え方

私の店舗での教え方は、その時間帯に応じてレジの基本操作、豚汁やサラダといったサイドメニュー作り、清掃、レジ点検といった作業に少しずつ触れてもらい、それを何度も繰り返す中で身につけてもらうやり方をとっています。
忙しい時間帯はレジ対応を中心に、落ち着いた時間帯は仕込みや清掃を、という具合に、その日の状況に合わせて経験させる作業を組み立てています。一つの作業を一度で完璧にさせようとするのではなく、いろいろな作業に繰り返し触れる中で、自然と体に覚えさせていくイメージです。
進捗管理は、袋詰めの基本手順・接客の基本・サイドメニューの作り方・レジ点検・清掃・ピーク時対応といった項目を箇条書きにしたチェックシートで行い、3日に1回ほどのペースで「できるようになったか」を確認しています。目安としては、これらすべてが身につき、ピーク時でも手が止まらない状態になるまで、だいたい20時間ほど。焦らず、何度も繰り返す中で一つひとつ確実に「できる」を積み重ねていくやり方です。
これは、カウンターに向いている性格が「正確さ・落ち着き」であることとも重なります。一気に完璧を求めず、繰り返しの中で少しずつ自信をつけていく——そういう教え方が、カウンターというポジションの育成には合っているんです。
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まとめ
- カウンターに向いているのは「コミュ力が高い人」ではなく、「正確さ・落ち着きを保てる人」
- 感情が表に出やすいタイプは、忙しさやクレームで焦りが伝わりやすく、カウンターでは苦戦しやすい
- カウンターの仕事は、レジでの注文対応・会計・袋詰めに加えて、サイドメニューの仕込み・レジ点検・清掃まで含む幅広い業務で、特に会計はミスが許されない工程
- 教え方も、その時間帯に応じて接客・サイドメニュー作り・清掃・レジ点検などに少しずつ触れ、繰り返しの中で身につけてもらうやり方(目安20時間・3日に1回チェック)
- 向いている性格の見極めと、それに合った繰り返し型の教え方の両方が、カウンターの接客力とクルーの定着率を高める