「レジ対応はテキパキできるのに、フライヤーに入った瞬間にテンパってしまう」
そういうクルーさん多いですよね。私も現場に立ってきた中で、何度もこの場面に出会ってきました。ポジションが変わるだけでパフォーマンスがガラッと変わる。
これって、単に「経験不足」で片づけていい話なんでしょうか。私は違うと思っています。ポジションごとに求められる性格・特性が違うから、向き不向きが生まれているだけなんです。
今回は、ほっともっとの店舗を支える5つのポジション——カウンター・ライス・フライヤー・ガス・ディシャップ——について、それぞれどんな性格の人が力を発揮しやすいのか、全体像を整理してみます。5つそれぞれの深掘りは、次回以降の記事で1本ずつお届けする予定です。
5つのポジション、それぞれ何をする仕事か
まずは前提として、5つのポジションがどんな仕事なのかをざっくり整理しておきます。
| ポジション | 主な仕事内容 | 求められる動き |
|---|---|---|
| カウンター | レジ対応・接客・サイドメニュー管理 | タブレットから素早い商品検索、来店対応と袋詰め・提供の優先順位づけ |
| ライス | ご飯・漬物の盛り込み | 商品ごとに異なる容器の瞬時判断、スピード最優先 |
| フライヤー | 揚げ物の準備・投入・仕上げ | ピークを考えたストック量、出来上がりタイミングを揃える商品の投入、入れ忘れ無くスピード重視 |
| ガス | 焼き物調理・電子レンジ/コンベクションオーブンでの調理 | 複数機器の使いこなし、注文を順番通り確実に、品質重視 |
| ディシャップ | 店頭・電話・ネット注文の采配、最終チェック | 4ポジションへの指示出し、出来上がり商品の正誤判断 |
この5つが連携して初めて、1つの弁当がお客様の手に届きます。どれも大事な役割ですが、求められる能力の種類はかなり違うことがわかると思います。研修中は一通りのポジションをローテーションして経験してもらうお店が多いと思いますが、そのローテーションの中で「この人はここで生き生きしているな」というサインが、実は一番わかりやすく出ています。
ちなみに、ディシャップはライス担当が兼任することもあり、盛り込みのスピードと、全体を見渡す司令塔の役割を1人で両立できるかどうかも、シフトを組むうえで大事な判断材料になっています。
向き不向きは「性格」で説明がつくことが多い
「なぜこの人はカウンターが得意なのに、フライヤーだと手が止まるのか」を考えていくと、たいてい性格・行動特性のところに理由が見つかります。カウンターは、タブレットの中にある10ページ近い商品の中から欲しいものを瞬時に見つける判断力・記憶力に加えて、来店対応と袋詰め・提供の優先順位を判断する力、そして行列ができても崩れない接客メンタルが求められます。人と話すことにエネルギーを感じるタイプ、混雑してもペースを乱されないタイプが力を発揮しやすいポジションです。
フライヤーとガスは、どちらも「同時に複数の調理を進める」という点は共通していますが、求められる力の質はむしろ逆です。フライヤーは、ピークの規模を考えながら、揚げ時間の違う商品を出来上がりのタイミングが揃うように先読みして投入する段取り力です。お弁当の作成と揚げ物の投入、どちらを優先すべきかを瞬時に判断しながら動く必要があり、入れ忘れが起きるとすべての商品の提供に遅れが出てしまうため、ミスのなさとスピードの両方が欠かせません。
一方でガスは、焦がさないよう気を配りながら来た注文を順番通り、着実に仕上げていくポジションです。スピードよりも質を重視するマインドが必要で、2口のガスコンロに加えて電子レンジやコンベクションオーブンも使いこなす必要があるので、経験を積んだクルーほど安定して力を発揮しやすい印象があります。実際、私の店舗でもガスは比較的経験の長いクルーが担うことが多いポジションです。
ディシャップは、店頭・電話・ネットという3つの経路から届く注文を整理し、4つのポジションに指示を出す、いわば店舗の司令塔です。出来上がった商品を確認してカウンターへ渡す役割も担うため、素早く「正しい商品かどうか」を見極めるチェック力も欠かせません。視野が広く、瞬時に判断できる人が向いていると感じています。
現場で見てきた「向いている・向いていない」のサイン
実際に店舗を見ていると、性格による向き不向きのサインは、意外とわかりやすい形で表れます。私の店舗でも、こんな場面がありました。
あるクルーは、カウンターに立つとお客様との会話も弾んで、クレームが来ても落ち着いて対応できるタイプでした。ところが、フライヤーに入ってもらうと、必要な商材を思い出すのに時間がかかってしまい、本人も「頭が真っ白になる」とこぼしていました。逆に、フライヤーやガスで安定した動きを見せるクルーの中には、カウンターに立つと笑顔を失ってしまい、お客様の列ができるとさらに焦ってしまう人もいます。
どちらも「仕事ができない」わけではなく、得意な負荷のかけ方が違うだけなんです。会話や対応の切り替えに強い人と、手元の段取りを同時進行させることに強い人は、そもそも力の発揮の仕方が違うのだと思います。
ディシャップに向いているクルーに共通しているのは、カウンターからもフライヤー・ガスからも次々と情報が飛んでくる中で、慌てず全体を見渡して「今どれを優先すべきか」を判断できる人です。こういうタイプは、普段から周りの状況を自然に観察しているクルーであることが多く、司令塔として重宝される才能を持っています。
適性を無視した配置が招くもの
この「向き不向き」を無視して配置を続けると、じわじわと悪い影響が出てきます。苦手なポジションに立たされ続けたクルーは、ミスが増えるだけでなく、「自分はこの仕事に向いていないのかもしれない」と自信を失っていきます。以前このブログで離職データを分析したことがありますが、こうした「合わないポジションでのストレス」は、防げる離職の芽の一つだと感じています。
反対に、得意なポジションを任せてもらえたクルーは、ミスが減るだけでなく、表情も明るくなります。適性配置は、単なる効率化の話ではなく、クルーが長く気持ちよく働き続けられるかどうかを左右する、店舗運営の土台になる部分だと考えています。
あなたに合ったポジションは?簡易診断
ここまで読んで、「自分やうちのクルーは、どのポジションに近いんだろう」と気になった方もいるかもしれません。13個の項目にそれぞれ5段階で答えると、5つのポジションへの適性度を五角形のグラフで確認できる簡易診断を作ってみました。オーナー自身のセルフチェックはもちろん、クルーの配置を考えるときの参考にもなると思うので、ぜひ試してみてください。
ポジション適性診断
13個の項目それぞれについて、1(全く当てはまらない)〜5(とても当てはまる)で答えると、5つのポジションへの適性度がわかります
1. まだ来ていない注文も見越して、先に準備しておくのが得意
当てはまらない
当てはまる
2. 今任された1つの作業を、確実に仕上げることに集中するのが得意
当てはまらない
当てはまる
3. スピードよりも、丁寧で質の高い仕上がりにこだわりたい
当てはまらない
当てはまる
4. たくさんの選択肢の中から、欲しいものを素早く見つけるのが得意
当てはまらない
当てはまる
5. 色々な場所から届く情報を整理して、誰に何を頼むか判断するのが得意
当てはまらない
当てはまる
6. お客様と直接やり取りして、笑顔で対応するのが好き
当てはまらない
当てはまる
7. 全体を見渡して、指示を出したり采配したりする役回りが好き
当てはまらない
当てはまる
8. 商品ごとに違う正しい容器や分量を、瞬時に選んで盛り込む作業が得意
当てはまらない
当てはまる
9. 複数の調理器具を同時に使いこなすのが得意
当てはまらない
当てはまる
10. 2つの作業のどちらを優先すべきか、瞬時に判断して切り替えるのが得意
当てはまらない
当てはまる
11. 出来上がったものが正しいかどうか、素早く見極めてチェックするのが得意
当てはまらない
当てはまる
12. 忙しくて行列ができても、動じずに落ち着いて対応できる
当てはまらない
当てはまる
13. 単純に見える作業でも、スピードと正確さを両立させることにやりがいを感じる
当てはまらない
当てはまる
📋 クルーの適性配置、一緒に見直しませんか?
AILLコンサルティングでは、ほっともっとオーナー向けにシフト・配置の相談も承っています。「このクルー、実はもっと向いているポジションがあるかも」と感じたら、お気軽にご相談ください。
まとめ
- ほっともっとの店舗は、カウンター・ライス・フライヤー・ガス・ディシャップという5つのポジションで成り立っており、それぞれ求められる能力が異なる
- カウンターは記憶力と優先順位判断力、フライヤーは先読みの段取り力、ガスは着実な質重視の仕事ぶり、ディシャップは複数経路の注文を裁く司令塔役というように、必要な力の質がそれぞれ違う
- 現場では「得意な負荷のかけ方の違い」として向き不向きのサインが表れる
- 適性を無視した配置を続けると、ミスの増加や自信喪失、離職のリスクにつながる
- 13問の簡易診断で、自分やクルーの適性度を五角形グラフで確認できる。5つの適性を理解して配置することが、店舗の生産性とクルーの定着率を同時に高める鍵になる