「時給を上げたらお金がもらえるって聞いたけど、なんで?」
仕組みがわからないまま「なんとなくお得そう」で終わっている方、多いんじゃないかと思います。私もそうでした。
今回は「なぜ時給を上げると助成金がもらえるのか」という根本の仕組みから、受給額の計算方法まで、順を追って解説します。仕組みがわかると、申請への動き方も変わってきます。
そもそも、なぜ時給を上げるとお金がもらえるの?

「お金をタダでくれるわけがない」と思いますよね。もちろん理由があります。
キャリアアップ助成金は雇用保険を財源としています。毎月の給与から従業員の雇用保険料を天引きして、会社側は雇用保険料を納めています。その積み立てられたお金が、雇用の安定や待遇改善を進めた事業者に対して還元される仕組みです。
つまり、「払うだけだった雇用保険料が、条件を満たすことで受け取れる制度」とも言えます。申請しなければ払いっぱなし。これが「知らないと損」と言われる理由です。
国としては、パートやアルバイトの待遇改善を進めたいという政策的な目的があります。時給を上げることでその目的に協力したオーナーに、国がお金を出す——そういう構造です。
賃金改定コースの仕組み、3ステップで理解する

賃金改定コースの仕組みを、シンプルに3ステップで整理します。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 計画書を事前提出 | 「この日付以降に時給を上げます」とWEB申請か労基署またはハローワークへ届け出る |
| ② 時給を引き上げる | 計画書提出後に、対象スタッフの時給を3%以上引き上げる |
| ③ 支給申請・受給 | 時給改定から6ヶ月後に申請し、審査を経て受給 |
たったこれだけです。難しいことはありません。ただ、①の「計画書を先に出す」という順番だけは絶対に守る必要があります。時給を上げてから計画書を出しても、申請は無効になります。ここだけは何度でも言います(笑)
受給額はいくら?引き上げ率と人数で決まる

受給額は「引き上げ率」と「対象人数」によって決まります。1人あたりの受給額はこちらです。
| 引き上げ率 | 1人あたり受給額(中小企業) |
|---|---|
| 3%以上4%未満 | 4万円 |
| 4%以上5%未満 | 5万円 |
| 5%以上6%未満 | 6.5万円 |
| 6%以上 | 7万円 |
たとえば時給1,141円のスタッフを1,200円に上げた場合、引き上げ額は59円、引き上げ率は約5.2%なので1人あたり6.5万円の受給対象になります。
対象スタッフが5名いれば6.5万円×5名=32.5万円。人数が増えるほど受給額も増えます。
ここで注意点が1つ。受給額の計算に使う引き上げ率は、「賃金規程に記載された時給ベース」で判定されます。実態として上げていても、賃金規程に反映されていなければカウントされません。改定と同時に賃金規程も更新する習慣をつけましょう。
初回申請だけもらえる「加算40万円」を忘れずに
賃金引き上げ分に加えて、初回申請のみ以下の加算があります。
| 加算項目 | 金額 | 回数 |
|---|---|---|
| 職務評価の実施 | 20万円 | 初回のみ |
| 昇給規定の整備 | 20万円 | 初回のみ |
職務評価とは、各スタッフがどんな仕事をどのレベルでこなせているかを書面化する作業です。昇給規定は、どういう条件で時給を上げるかをルール化するもの。どちらも初回だけ手間がかかりますが、合計40万円の加算は一度きりのチャンスです。
この40万円があるかないかで、受給総額がまったく変わってきます。私のお店も3名のスタッフで賃金引き上げ分は20万円でしたが、加算の40万円を合わせて合計60万円になりました。初回こそ、一番お得に申請できるタイミングです。
💡 「初回だから」こそ早く動くべき理由
初回加算の40万円は、申請回数に関係なくその事業所で初めて申請するとき1回だけもらえます。2回目以降は賃金引き上げ分のみ。申請が遅れれば、初回の40万円を先送りすることになります。
計画書の提出、実際にどうやるの?

「計画書を先に出す」といっても、初めてだと何をどこに出せばいいかわからないですよね。流れをざっくり説明します。
提出方法は2つあります。
- WEB申請:GビズIDを取得してe-Gov(電子申請システム)から提出。24時間対応で窓口に行く手間がない
- 窓口申請:管轄の労働基準監督署またはハローワークへ直接持参
提出するのは「キャリアアップ計画書」という書類です。氏名・事業所名・これから行う取り組み(賃金改定)の内容と予定日を記入します。難しい内容ではありませんが、記入ミスや提出タイミングのズレが後々のトラブルにつながりやすい部分でもあります。
「書類の書き方がわからない」「提出前に確認してほしい」という方は、AILLコンサルティングの無料相談をご利用ください。
毎年続けることで、助成金は「定期収入」になる
賃金改定コースは毎年申請できます。最低賃金は毎年10月前後に改定されますが、そのタイミングで時給を上げるたびに申請が可能です。
2回目以降は初回加算がなくなるので受給額は小さくなりますが、「毎年10月に時給を上げたら計画書を出す」を習慣にするだけで、毎年一定額の助成金が入ってきます。
たとえば雇用保険加入スタッフが5名いて、毎年5%以上の時給アップをするなら、6.5万円×5名=32.5万円が毎年の受給見込みになります。3年で約100万円です。
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スタッフ数・店舗数・引き上げ率を入力するだけで、その場で概算が出ます。「うちだといくらになるんだろう?」と気になった方は、まず診断してみてください。
まとめ
- 助成金の財源は雇用保険料。払い続けてきたお金を条件を満たして受け取る制度
- 仕組みは「計画書提出→時給アップ→申請→受給」の3ステップ
- 計画書は時給を上げる前に提出が絶対条件。順番を間違えると無効になる
- 受給額は引き上げ率×対象人数で決まる。1人あたり4〜7万円
- 初回申請のみ職務評価20万円+昇給規定20万円の加算あり。一生に一度のチャンス
- 毎年申請することで定期的な収入源になる
次回は「就業規則がないと助成金はもらえない?整備のポイント」です。就業規則の整備について、具体的に解説します。お楽しみに!