「就業規則、一応あるんですけど……ずっと前にとりあえず作ったものなので」
これもよく聞く話です。あるにはあるけど、最後に更新したのがいつかわからない。何を書いたのか、何を書いてないのかよく分からない。そういうケースが多いんです。
まあ、これ、助成金申請する前の私のことですが(笑)
結論から言うと、就業規則がないと助成金の受給額が大きく変わります。特に初回申請の加算40万円を取りに行くなら、就業規則の整備はほぼ必須です。今回は何を書けばいいか、具体的に解説します。
就業規則がないと、いくら損するのか

まず「就業規則がないとどう困るか」を整理しておきます。
| 助成金の項目 | 就業規則なし | 就業規則あり(整備済み) |
|---|---|---|
| 賃金引き上げ分 | △ 賃金規程への記載が必要 | ○ 申請可能 |
| 昇給規定の整備加算(20万円) | ✕ 受給不可 | ○ 受給可能(初回) |
| 職務評価の実施加算(20万円) | ✕ 受給不可 | ○ 受給可能(初回) |
| 正社員化コース(80万円/人) | ✕ 転換規定がないと申請不可 | ○ 申請可能 |
就業規則がないと、初回加算の40万円がまるごと消えます。さらに正社員化コースも申請できません。整備するかしないかだけで、受給見込み額が100万円以上変わるケースもあるということです。
「面倒くさいから後回し」にしていると、それだけのお金を損しています。
【賃金改定コース向け】賃金規程に書くべき2つのこと

賃金改定コースの初回加算(昇給規定20万円)を取るために、賃金規程に書いておくべきことは大きく2つです。
① 時給の基準と改定のルール
「どういう基準で時給を決めるか」「いつ・どんな条件で時給を上げるか」を明記します。たとえば「毎年4月に職務評価をもとに賃金を見直す」「勤続年数・習熟度に応じて昇給する」といった内容です。「社長が気分で決める」ではなく、ルールとして書面化することが大事です。
② パート・アルバイトへの適用範囲
賃金規程が「正社員のみ適用」になっていると、パート・アルバイトが対象外になってしまいます。「有期雇用労働者(パート・アルバイト)にも本規程を適用する」という一文を必ず入れてください。古い就業規則ほど、ここが抜けているケースが多いです。
💡 「昇給規定」は難しく考えなくていい
「ちゃんとした制度を作らないといけないのでは?」と身構える方が多いですが、そんなことはありません。「年1回、勤務態度と習熟度をもとに昇給を検討する」程度のシンプルな一文でも、規定として認められます。完璧を求めすぎず、まず書いてみることが大事です。
【正社員化コース向け】転換規定に書くべきこと

正社員化コースを申請するには、就業規則に「有期雇用から正社員に転換できる条件」を明記する必要があります。書くべき内容はシンプルで、以下の3点が含まれていれば問題ありません。
- 転換の対象者:どんなスタッフが対象になるか(例:勤続6ヶ月以上の有期雇用者)
- 転換の手続き:どうやって正社員になれるか(例:本人の申請または会社からの打診)
- 転換後の労働条件:正社員になった後の給与・勤務形態の基準
私のお店でも、最初は転換規定が入っていませんでした。計画書を提出した後に調査員から確認が入って、慌てて就業規則を変更して労働基準監督署に届け出ました。結果的には間に合いましたが、本来は計画書を出す前に整備しておくのがベストです。
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就業規則の「届出」も忘れずに

就業規則を作っただけでは不十分です。労働基準監督署への届出も必要です。
従業員が10名以上いる事業所は、就業規則の作成・届出が法律上の義務です。10名未満でも、助成金申請においては届出済みの就業規則があった方が審査がスムーズになります。
届出の手順はシンプルです。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 就業規則を作成・更新 | 賃金規程・昇給規定・転換規定を盛り込む |
| ② 従業員への周知 | スタッフに内容を伝える(掲示・配布・共有フォルダへの保存など) |
| ③ 意見書の作成 | 従業員代表者の意見を記載した意見書を添付(内容への同意は不要) |
| ④ 労働基準監督署へ届出 | 就業規則・意見書を管轄の労基署へ提出(ネットだと数日かかることがありますが、窓口だと即対応してくれます。) |
意見書は「従業員代表者の意見を聞いた証明」であって、同意を得る必要はありません。「反対です」と書かれていても届出は受理されます。ここで止まってしまうオーナーも多いので、覚えておいてください。
今すぐ確認してほしい、就業規則の3つのチェックポイント
手元に就業規則がある方は、今すぐ以下の3点を確認してみてください。
- ☑ パート・アルバイトへの適用が明記されているか(「有期雇用労働者にも適用する」の一文)
- ☑ 昇給・賃金改定のルールが書かれているか(「いつ・どんな基準で上げるか」)
- ☑ 正社員転換の条件が書かれているか(「勤続○ヶ月以上で転換可能」など)
この3つが揃っていれば、賃金改定コース・正社員化コースどちらの申請にも対応できます。1つでも欠けていたら、早めに追記しておきましょう。
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まとめ
- 就業規則が未整備だと初回加算40万円と正社員化コースが受給できない。整備するだけで受給額が大きく変わる
- 賃金改定コース向けには「昇給のルール」と「パート・アルバイトへの適用」を賃金規程に明記
- 正社員化コース向けには「転換の対象・手続き・転換後の条件」を就業規則に明記
- 昇給規定は難しく考えなくていい。シンプルな一文でもOK
- 作成後は労働基準監督署への届出も忘れずに。意見書は同意不要
- 今すぐ手元の就業規則で「適用範囲・昇給規定・転換規定」の3点を確認してみる
次回は「クルーの正社員化、やってみてわかったこと【ほっともっとオーナーの本音】」です。助成金から少し離れて、現場の人材育成について話します。お楽しみに!