「夏が来るたびに毎年バタバタする」「年末はもう思い出したくない」
繁忙期のたびにギリギリで乗り越えて、終わったときにはクルーもオーナーも疲弊している——そんな繰り返しになっていませんか。
エリアマネージャーとして10年間、100店舗以上の繁忙期を見てきました。うまく乗り越えるお店と、毎年同じ失敗を繰り返すお店の違いは、繁忙期が始まる前の「準備の差」にほぼ集約されます。今回は、その準備と心構えを具体的に解説します。
ほっともっとの繁忙期はいつ?

まずは、郊外型店舗のほっともっとの繁忙期がいつなのかを整理しておきます。
| 時期 | 特徴・注意点 |
|---|---|
| 7〜8月(夏休み・お盆) | お盆の時期が最も忙しい。さらに、一人暮らしの学生クルーは帰省し、子育て中の主婦クルーは学校が休みでシフトに入れなくなる。売上が上がるのに人手が減る期間。 |
| 12月下旬〜12月31日(年末) | クリスマス明けから大晦日にかけてが山場で、特に12月27日、28日、31日は忙しい。1月上旬は一転して閑散期になるため、シフトと気持ちの切り替えが必要 |
| 運動会シーズン(春または秋) | 地区によって春・秋とまちまちで、基本的に1日だけの特需。何日も続かないので、パワーで乗り切る(!?) |
| 人手が減りやすい時期(売上に関わらず) | 夏休み・冬休み・春休み・GWなどの長期休暇は、学生クルーの帰省や子育てクルーの都合でシフトが組みにくくなる。人員管理に注意が必要 |
郊外型のほっともっとにとって、繁忙期は年2回——夏のお盆と年末です。この2つの山をどう乗り越えるかが、お客様満足度に大きく影響します。前年の売上データと人員の動きを照らし合わせて、早めに対策を打つことが不可欠です。
繁忙期で失敗するお店の共通点

繁忙期に毎年同じ失敗を繰り返すお店には共通した特徴があります。
① 「なんとかなる」で準備を先送りにする
繁忙期の1〜2ヶ月前は「まだ先の話」に見えます。でもシフトの空白を埋めるには採用・研修の時間が必要で、気づいたときには手遅れになっていることが多い。
② 毎年「去年もギリギリだったけど乗り越えた」で終わらせる
乗り越えたこと自体は素晴らしいのですが、「なぜギリギリだったのか」を記録して次年に活かせるかどうかで、翌年の繁忙期の乗り越え方がまったく変わります。
③ クルーへの負荷を「仕方ない」で済ませる
「繁忙期だから仕方ない」という空気が続くと、クルーの疲弊がモチベーション低下につながります。繁忙期中のケアを怠ると、次の繁忙期に向けた人員確保にも影響が出てきます。
繁忙期4ヶ月前からやるべき準備
では具体的に何をいつ始めればいいか。目指すべきスケジュールを紹介します。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 4ヶ月前 | 前年の対象期間の売上・人員データを確認。シフトの空白が予測される時期を特定。合わせて既存クルーに繁忙期の休み希望を確認。「この期間どのくらい人が減るのか」を把握し、求人募集をかける |
| 2ヶ月前〜 | 新規採用クルーの研修を開始。繁忙期までに最低2ポジション習得できるよう、しっかり育成する |
| 1ヶ月前 | 繁忙期のシフトを確定。時間帯別でも人員が充足しているか最終確認する |
| 繁忙期中 | 人時売上を毎日確認しながら対応。繁忙期は10日間前後で終わるため、クルーの疲労度を観察しながら乗り切ることに集中する |
特に重要なのが「4ヶ月前に動き始める」ことです。夏休みなら4月、年末なら9月には募集をかけていないと間に合いません。「まだ早い」と思ったその時が、実はちょうどいいタイミングです。
💡 採用のリードタイムを逆算する
募集から採用・研修を経て2ポジション習得するまで、最低でも3〜4ヶ月かかります。「人が足りない」と気づいてから動いても、繁忙期には間に合わないことがほとんどです。カレンダーに「繁忙期4ヶ月前」の日付を今すぐ入れることをおすすめします。
繁忙期中のクルーケア——疲弊させないために

準備が整っても、繁忙期中にクルーが疲弊してしまうと台無しです。忙しい時期こそ、クルーへの声かけを意識することが大事です。
「今日もありがとう」を言う
忙しいとつい省略してしまいますが、感謝の一言が、クルーがもう一踏ん張りする力になります。特に繁忙期は「頑張りが当たり前」の空気になりやすいので、意識的に言葉にする必要があります。
「あと○日くらいで落ち着くよ」と見通しを伝える
終わりが見えないとモチベーションが下がります。「お盆が終われば落ち着く」「12月31日までの辛抱」という見通しを伝えるだけで、クルーの踏ん張り方が変わります。
繁忙期明けに「ご褒美」を用意する
繁忙期を乗り越えたタイミングで、スタッフみんなで食事に行くことを恒例にしているお店があります。金額より、「一緒に乗り越えた」という体験を共有することが、チームとしての結束につながります。
繁忙期後の「振り返り」が、来年を変える

繁忙期が終わったときに、多くのオーナーがやることは「ひと息つく」ことだと思います。それは当然です。でも、ひと息ついた後でいいので、今年の繁忙期の売上や特徴をメモしておくと来年につながります。
記録しておくべきことはシンプルです。
- 人員が足りなかった日・時間帯はどこか
- 想定より売上が高かった・低かった日はいつか
- クルーから出た不満や要望は何か
- 来年やるべきこと、やめるべきことは何か
たとえば年末なら、12月27日、28日は学校給食がなく、多くの会社の最終営業日でもあり、大掃除のタイミングとも重なります。すべての年代の人が「今日は外食で済ませよう」と考える日で、特に昼間は1年で最も忙しい日になることがあります。こういった「この日はなぜ忙しかったのか」の理由をメモしておくだけで、来年の仕込み量・シフトの判断がまったく変わります。
メモ1枚でもいいので残しておく。来年の自分へのバトンだと思って実行してください。
📋 繁忙期の準備・人員計画のご相談も受け付けています
「今年の夏が不安」「年末に向けて何から手をつければいいか」——AILLコンサルティングでは店舗経営全般のご相談に対応しています。繁忙期の前に一度、現状を一緒に確認しましょう。
まとめ
- 郊外型ほっともっとの繁忙期は年2回——夏のお盆と年末(クリスマス明け〜12月31日)。特に12月27日、28日、31日は1年で最も忙しい
- 「売上増×人手減」が重なりやすいのは夏休み・冬休み・春休み・GW。学生の帰省・子育て中クルーのシフト制限が主な原因
- 失敗するお店の共通点は「準備の先送り」「振り返りなし」「クルーのモチベーション低下の放置」
- 準備は繁忙期の4ヶ月前から始める。夏なら4月、年末なら9月が募集の目安
- 繁忙期までに最低2ポジション習得できるよう、しっかり時間をかけて育成する
- 繁忙期中は感謝の言葉・終わりの見通し・ご褒美でクルーのモチベーションを保つ
- 繁忙期後に売上や特徴をメモしておくことが、来年の自分へのバトンパスになる
次回は「給与計算を外注するメリット・デメリット【飲食店向け】」です。開業時のサービスをそのまま使い続けているオーナーに向けて、コストの見直しポイントをお伝えします。お楽しみに!