「また変わるの……?」

厚生労働省が設置した「労働基準関係法制研究会」では、現行の労働基準法を時代に合わせて見直すための議論が進んでいます。2024年に報告書が取りまとめられ、今まさに法改正に向けた具体的な検討が行われているところです。

「変わってから対応する」のは、正直しんどいです。いつも「もう少し早く知っておけばよかった」と後悔するんですよね。だから今回は、FCオーナーとして知っておきたいポイントを早めにまとめておこうと思います。


研究会で議論されていること

年次有給休暇の取得計画を確認するほっともっとオーナーのイメージ

報告書では複数のテーマが議論されています。たとえば、退勤から次の出勤まで11時間以上の休息を確保する「勤務間インターバル制度」の義務化(現在は努力義務)や、副業・兼業クルーの労働時間通算ルールの整理(現行は複数社の労働時間を合算する仕組みで、現場管理が難しいと指摘されています)なども含まれています。

ただ、飲食FCオーナーとして私が特に気になったのは、年次有給休暇の取得促進がさらに強化される方向で議論が進んでいるという点です。「すでに義務はあるのに、なぜまた?」と思うかもしれませんが——実は、この義務、まだちゃんと運用できていないオーナーさんが多いんです。


「年5日取得義務」、正しく運用できていますか?

2019年4月に施行された「年次有給休暇の年5日取得義務」。ご存知の方も多いと思いますが、改めて確認してみましょう。

この制度の対象は、年間10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者です。フルタイムのクルーはもちろん、週4日以上働いているパートクルーも対象になる場合があります。

対象クルーに対して、有給付与日から1年以内に5日間、オーナー(会社)が時季を指定して取得させる義務があります。クルーが自分で申請した分は充当できますが、申請がない場合はオーナー側から「この日にどうぞ」と時季を指定しなければなりません。

⚠ 違反すると罰則があります

年5日取得させなかった場合、対象クルー1人につき30万円以下の罰金が科される可能性があります。「知らなかった」では済まないので、注意が必要です。

「うちのクルーは自分から申請しないから、気づいたら年度末に5日残ってた……」という話をよく聞きます。しかし、これは義務違反のリスクがあります。


今後、どう強化されるの?

有給取得を組み込んだシフト表を作成するほっともっとオーナーのイメージ

研究会では、有給取得をさらに確実に進めるための仕組みの強化が議論されています。具体的にどう変わるかはまだ確定していませんが、方向性として議論されているのは次のような内容です。

  • 取得義務の対象者の拡大(週3日以下勤務のクルーへの適用拡大など)
  • 5日という日数の引き上げの検討
  • 取得状況の記録・管理の義務化の強化
  • 違反時の監督指導の厳格化

つまり、「今の義務すら守れていない」状態で次の強化が来ると、一気に対応が難しくなるということです。

「うちは少人数だから、有給を取られると現場が回らない」という気持ち、私もよくわかります。でも、だからこそ今のうちから仕組みとして組み込んでおくことが大切なんです。


飲食店でも使える「計画的付与制度」という手

「クルーが自分で申請しないと、5日消化させるのが難しい」という悩みを解決するのに有効なのが、「計画的付与制度」です。

これは、年間の有給休暇のうち5日を超える部分について、会社(オーナー)が取得日をあらかじめ指定できる制度です。活用するには労使協定の締結が必要ですが、うまく使えば有給取得の管理がとても楽になります。

たとえば、こんな使い方ができます。

活用例 内容
連続休暇への組み込み 夏季休暇・年末年始のシフトオフ日に有給をあてて、まとめて消化する
定期的な公休への組み込み 月に1回、クルーのシフト作成時に有給取得日を1日組み込むルールを設ける

「申請してもらえないから困る」という場合は、この制度を使って会社側が主導して取得日を決めるのが一番現実的なアプローチだと思っています。


今からやっておきたいこと

有給取得の義務をしっかり運用するために、今から整えておきたいことをまとめます。

  • 取得状況を管理する台帳を作る——誰がいつ付与されて、何日取得したかを一覧で追えるようにする。Excelでも十分です。AILLで給与計算をお任せいただいているオーナーさんには、テンプレートをお渡ししています。
  • 付与日から逆算して計画を立てる——年度末に慌てて5日消化しようとしても現場が回りません。付与されたタイミングで年間の取得計画を立てましょう。
  • 計画的付与制度の検討・導入——労使協定の締結が必要ですが、一度仕組みを作れば毎年の管理がぐっと楽になります。
  • 就業規則への明記——有給の申請・取得ルールが就業規則に書かれていないと、クルーへの周知も難しくなります。

「何から始めればいいかわからない」という方は、まず「うちのクルーの有給付与日・取得日数を一覧にすること」から始めてみてください。それだけで現状が見えてきます。

法律が変わったあとに慌てるより、今の義務をきちんと運用しながら準備しておく——それが一番シンプルで確実な対応だと思っています。

「うちの対応、これで合っているかな?」と気になった方は、ぜひAILLにご相談ください。

▶ あわせて読みたい:有給休暇の計算方法|時給・日給・月給それぞれの算出ルール——付与日数の計算や比例付与のルールを詳しく解説しています。


📋 有給取得の管理体制、一緒に整えます

「年5日ちゃんと取れているか確認したい」「計画的付与制度を導入したい」「就業規則に有給ルールを盛り込みたい」など、労務管理に関するご相談をお受けしています。現状の確認から対応策の整理まで、一緒に進めていきましょう。

▶ 無料相談はこちら

まとめ

  • 厚生労働省「労働基準関係法制研究会」で、労働基準法の見直しが議論されている(勤務間インターバルの義務化・副業ルール整理なども含む)
  • 中でもFCオーナーに直結するのは「年次有給休暇の取得促進のさらなる強化」
  • 年10日以上の有給が付与されるクルーには、付与日から1年以内に5日取得させる義務がある(違反で30万円以下の罰金)
  • クルーが自発的に申請しない場合は「計画的付与制度」で会社側から取得日を指定できる
  • 今からやること:取得状況台帳の整備・年間計画の策定・就業規則への明記
  • 「今の義務を正しく運用する」ことが、次の法改正にも慌てずに対応できる一番の近道