「今月も出てるわ……不明ロス」
月末に棚卸をして、月初に結果を見る。営業報告書って、なんだか通知表をもらう時みたいな気持ちになりますよね。
廃棄ロスは「何を」「いくつ」捨てたか記録が残るので、対策しやすいです。でも不明ロスは、原因がわからないまま数字だけが出てくるんですよね。「原因は何だろう」と思いながら、気付けば1ヶ月経っている。
今回は、不明ロスがなぜ発生するのか、そして私が現場で実際にやっている改善策をお話しします。
そもそも「不明ロス」とは何か

ロスには大きく分けて2種類あります。
廃棄ロスは、期限切れや作りすぎで捨てた商材のロスです。「何を」「いくつ」捨てたかが記録として残るし、毎日確認するので原因がはっきりしています。
一方の不明ロスは、棚卸をして初めて発覚するロスです。「本来あるはずの在庫」と「実際にカウントした在庫」がずれていて、そのずれが廃棄記録や販売記録では説明がつかない——これが不明ロスです。
ほっともっとは、もともと原価率が約50%と、一般的な飲食店(30〜35%)より高い業態です。ただでさえ原価にシビアな構造なので、不明ロスが出ると、その分そのまま利益が削られていきます。「誤差だから」と見過ごせる項目ではないんです。
不明ロスが発生する主な原因

不明ロスと一言で言っても、原因を分解すると、だいたいいくつかのパターンに絞られます。私の店舗での体感を踏まえて、影響が大きいと感じる順に紹介します。
原因①:計量・盛り込み量のばらつき
私が一番大きな原因だと感じているのが、これです。ライスの量、漬物類の盛り込み量が、クルーによって微妙に違う——これが積み重なると不明ロスになります。1食あたりでは数グラムの差でも、1日何十食、1ヶ月何百食と重なれば、無視できない量になります。調理に慣れていても定期的に計量したり、基準になる写真を用意して、いつ誰が盛り付けても同じ量にしなければなりません。
原因②:廃棄の記録漏れ
本当は捨てたのに、廃棄表への記入を忘れてしまうケースです。特にピークタイムは、廃棄表に記入している余裕なんてありません。
そこで私は廃棄ボックスを活用しています。ピーク中は、まず廃棄品を廃棄ボックスに入れることだけを徹底する。記入はいったん後回しにして、ピークが落ち着いてから、ボックスの中身をまとめて廃棄表に記入する、という流れです。
あわせて気をつけたいのが、お弁当を作り直したときの記録です。盛り付けミスや提供ミスで急きょ新しいお弁当を作った場合、元のお弁当も廃棄扱いになるはずですが、バタバタしていると記入漏れが起きがちです。「作り直したら、廃棄表への記入も忘れずに」と、都度クルー同士で声をかけ合うようにしています。
原因③:棚卸しの入力誤り・カウントミス
棚卸の際に数え間違えたり、入力を間違えたりするケースです。実際にはロスが出ていなくても、単純なミスだけで「不明ロスが出た」ように見えてしまいます。棚卸のカウントはピーク中にしない、事前にカウント出来るものはしておく、必ず見直しをする、それだけでもミスはかなり減らせます。
原因④:店舗間移動の付け忘れ
商材を店舗間で貸し借りし合うことがあります。このとき移動の記録をつけ忘れると、移動元では「あるはず」なのに実際はない、移動先では在庫が急に増えている、という不整合が生まれます。店舗間移動は、その都度記録するルールを徹底することが大事です。
原因⑤:レジ入力の誤り
商品の登録間違いや数量の打ち間違いなど、レジ操作のミスも不明ロスの原因になります。売上データと実際に出た商品の数が合わなくなるので、原価計算上「消えた」ように見えてしまうんです。
原因⑥:検品漏れ

納品された数量をきちんと確認せず、伝票の数字をそのまま信用してしまうケースです。実際の納品数が1つ足りなくても、確認していなければそのまま「あるはず」の在庫としてカウントされてしまいます。夜間納品であっても、翌朝納品数を確認して伝票にサインする——このひと手間を徹底することが大切です。
原因⑦:無銭飲食
考えたくないですが、商材の持ち帰りやつまみ食いをされているケースです。早朝や閉店間際など、責任者がいない時間帯に発生していることがあります。シフトに入っていなくても、不規則な時間帯に巡回することが、防止策になります。
どの原因も仕組みや運用のちょっとした隙間から生まれていることがほとんどです。原因を深掘りしてみると、対策の糸口も見えてきます。
数字はクルーと共有すると、意識が変わる

不明ロスの数字は、オーナーや店長だけが把握していても、店舗全体は変わりません。私は毎月の棚卸結果をクルーにも共有するようにしています。
「先月の不明ロスはこれくらいでした。原因は◯◯が考えられます。」と伝えるだけで、現場の意識が変わってきます。人は、自分に関係のある数字だと初めて「自分ごと」として捉えてくれるものです。逆に何も伝えなければ、現場は「ロスがあること」自体を知らないまま日々の業務をこなすことになります。
不明ロスは、たとえば月商500万円の店舗で0.5%発生しているとすると、月2.5万円、年間にすると30万円ほどの計算になります(あくまで一例としての試算です)。「誤差」で片づけるには、意外と大きな金額なんですよね。
原因がわからないまま放置するのではなく、「見える化」して1つずつ原因を潰していく。これが不明ロスとの向き合い方だと思っています。
📋 原価管理・ロス対策のご相談も承っています
AILLコンサルティングでは、ほっともっとオーナー向けに原価管理・店舗運営に関する無料相談を行っています。「毎月の不明ロス、どこから手をつければいいかわからない」という方もお気軽にどうぞ。
まとめ
- 不明ロスとは、廃棄記録などでは説明のつかない在庫のズレ
- 主な原因は「①計量・盛り付けのばらつき」「②廃棄の記録漏れ」「③棚卸しの入力誤り・カウントミス」「④店舗間移動の付け忘れ」「⑤レジ入力の誤り」「⑥検品漏れ」「⑦無銭飲食」など
- 特に②廃棄の記録漏れは、廃棄ボックスを使ってピーク後にまとめて記入する運用が効果的
- 不明ロスの数字はクルーと共有することで、現場の意識が変わってくる
- 「誤差」で流さず1つずつ原因を潰していくことが、利益を守る近道