「シフト管理で人件費を下げる3つのコツ」AILLコンサルティング 店舗運営#010

「人件費をもう少し下げたい。でも削りすぎるとお店が回らなくなる」

このジレンマ、シフト作成時に毎回感じていると思います。

私はエリアマネージャーとして10年間、100店舗以上のシフトと人件費を見てきました。その経験から言えることは、「人件費を下げる」と「お店を回す」は、シフトの組み方次第で両立できるということです。今回は今日から使える3つのコツを紹介します。


そもそも「人件費が高い」の原因はどこにある?

ほっともっと店舗のシフト表を確認するオーナーのイメージ

コツの前に、まず「なぜ人件費が高くなるのか」を整理しておきます。原因は大きく3つに分かれます。

原因 具体的な状況
① 売上の低い時間帯に人が多い ピーク時間に合わせて組んだシフトが、アイドルタイムにそのまま残っている
② 1人しかできない仕事がある 特定のクルーが休むと「その人がいないと回らない」状態になっている
③ 人時売上を把握していない 売上に対しての実働労働時間を毎日確認していない

「なんとなく人が多い気がする」という感覚ベースの経営をしている間は、人件費は下がりません。まず原因を特定してから、対策を打つ——この順番が大事です。


コツ① データに基づいたシフトを組む

時間帯別曜日別売上と必要人員を分析するイメージ

シフト管理で一番効果が大きいのが、データをもとに「何人必要か」を判断することです。

まず売上の見方から整理します。売上は次の順番で見ていくのが基本です。

  • 月間売上:前年同月の売上と直近の前年比の推移から算出
  • 週間売上:同じ月でも時期によって大きく変わる(例:7月は夏休み前と夏休み期間中で売上が変わる)
  • 曜日別売上:曜日ごとの傾向を把握する(例:水曜日は売上が低い、金曜日は特に夜から伸びるなど)
  • 時間帯別売上:ピーク・アイドルタイムの時間帯を正確に把握する

この4つを重ねて見ることで、「この日のこの時間帯は何人必要か」が初めて見えてきます。

よくある失敗が「平日5日間を全て同じ型でシフトを組む」ことです。曜日によって売上の動きは違います。また、特定の日付によっても傾向は異なります。最終週の月曜日は忙しい、月末は忙しい——こういった傾向も、データを積み重ねることで見えてきます。

「この時間帯は最低○人必要」という固定概念を捨てて、データを基準にシフトを組む。これだけで月の人件費が数万円単位で変わることがあります。エリアマネージャー時代、「データに基づいたシフト組み」をするだけで人件費率が2〜3ポイント改善した店舗を何店舗も見てきました。

参照するデータは過去1〜2ヶ月と前年同月の時間帯別・曜日別売上データが基本です。

💡 「売上が読める日」と「読めない日」を分けて考える

曜日・天気・近隣のイベントによって売上は変わります。「この曜日は少なめ、この時間帯は手薄でOK」という肌感覚をデータで裏付けることが、シフト精度を上げる第一歩です。


コツ② クルーの「オールラウンダー化」を進める

複数業務をこなすオールラウンダークルーのイメージ

「オールラウンダー化」とは、1人のクルーがレジ・調理・仕込み・クレンリネスのすべてをひととおりこなせるようにすることです。

なぜこれが人件費削減につながるのか。理由は2つです。

理由1:少ない人数でお店を回せるようになる
1人が複数の仕事をこなせれば、同じ業務量を少ない人数で処理できます。「レジしかできない人」が1人減っても困らない体制ができます。

理由2:急な欠員に強くなる
「この人が休むとこのポジションが回らない」という状況がなくなります。誰かが急に休んでも、他のクルーがカバーできる。「とりあえず誰か呼ばないと」という緊急呼び出しが減るだけで、残業代・割増賃金のコストが下がります

オールラウンダー化を進めるには、教育の仕組みが必要です。「ここまで覚えたら時給を上げる」というインセンティブを就業規則に盛り込むと、クルー側のモチベーションにもつながります。これはキャリアアップ助成金の昇給規定とも相性がいい考え方です。


コツ③ 「人時売上」を毎日確認する習慣をつける

人時売上を確認するほっともっとオーナーのイメージ

3つ目は、仕組みというより習慣の話です。

ほっともっとでは、人件費率より人時売上(にんじうりあげ)を見ることが多いです。人時売上は「売上 ÷ 労働時間」で算出します。売上が低いほど人時売上(生産性)は下がり、高いほど数値も上がります。目安としては3,500〜4,500円/時程度。また郊外型の店舗では、平日より土日祝の人時売上が高くなる傾向があります。

人件費率で見るなら、目安は売上の18〜23%程度と考えています。

この数字を毎日確認しているオーナーと、月末にまとめて確認するオーナーとでは、年間の人件費に大きな差が出ます。毎日見ていれば「今週は人件費が膨らんでいる」と早めに気づいて、翌週のシフトで調整できます。月末にまとめて見ると、もう手の打ちようがない。

タイミング 確認すること
毎日(閉店後) その日の売上と労働時間を記録し、人時売上を算出。週の累計が目安を外れていないか確認
週1回 翌週のシフトを人時売上の目安に合わせて微調整する
月末 月全体の人時売上・人件費率を集計。前年同月を確認して次の期間のシフトを見直す

「毎週決まった曜日に、前週の売上と労働時間の分析をまとめて確認する」という習慣が作れると、シフト管理の精度がぐっと上がります。AILLコンサルティングでは給与計算代行も行っていますので、「労働時間の管理も合わせて任せたい」という方はご相談ください。


「削る」より「最適化する」という考え方

ここまで3つのコツを紹介しましたが、共通して言えることがあります。

人件費管理は「削る」ではなく「最適化する」という考え方が大切です。

人を減らしすぎると、クルーへの負担が増え、離職につながります。離職が増えると採用・教育コストがかかり、トータルでは高くつく。これはエリアマネージャー時代に何度も目にしたパターンです。

売上の低い時間帯の人数を適正にする、1人でできる仕事の幅を広げる、数字を毎日見て早めに動く——この3つを地道に続けるだけで、お店を回しながら人件費を適正化することができます

📋 人件費管理・給与計算のご相談も受け付けています

「人時売上の目安がわからない」「給与計算を外注したい」——AILLコンサルティングでは店舗経営の相談から給与計算代行まで対応しています。現在のコストより10%以上の経費削減になる可能性がありますので、今すぐご相談ください。

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まとめ

  • 人件費が高い原因は「売上の低い時間帯に人が多い」「特定の人しかできない仕事がある」「人時売上を把握していない」の3つが多い
  • コツ①:データに基づいたシフトを組む。月間・週間・曜日別・時間帯別の順で売上を見て、固定概念を捨てる
  • コツ②:クルーのオールラウンダー化を進める。少ない人数でお店を回せて、急な欠員にも強くなる
  • コツ③:毎日人時売上を確認する習慣をつける。月末ではなく毎日見ることで早めに手が打てる
  • 人件費管理は「削る」ではなく「最適化する」という考え方が大切

次回は「アルバイトが定着しない本当の理由【飲食店オーナー必読】」です。離職率を下げるためにオーナーができることを話します。お楽しみに!