「人件費を抑えるために自分が入る」
これ、やっていませんか。私もやっていた時期があります。また、同じことをしているオーナーを何人も見ています。「オーナーが率先して入店する」一見まじめで頑張り屋に見えます。でも長い目で見ると、これがお店を弱くする一番の原因になっていることが多いんです。
月200時間入店しているオーナーの現実

実際に、月200時間以上入店しているオーナーは珍しくありません。1日8時間、週6日——サラリーマン以上の時間をお店で過ごしています。
本人も「そんなに入りたいわけじゃない」と思っています。でも「人が育たない→自分が入る→育てる時間がない→人が育たない」——この悪循環の根っこにあるのは、定着率の低さと人を育てられていないことです。
「自分が入れば節約になる」は本当か

オーナーが月200時間入店すると、時給1,200円換算で240,000円の節約に見えます。でもその200時間を経営者として使っていたら——シフトの最適化、採用強化、助成金の準備——240,000円より大きなリターンになる可能性があります。失われる経営時間の価値が、本当のコストです。
さらに大事な視点があります。1店舗にオーナーが200時間入り続ける限り、2店舗目を出すなんてことは夢のまた夢。入店時間を減らすと1店舗の利益は一時的に減ります。ただ、多店舗経営ができるようになればトータルの収入は大きくなります。
💡 うまくいっているお店のオーナーほど、入店していない
エリアマネージャー時代の気づきです。うまくいっているお店のオーナーほど、入店より経営業務に時間を使っていました。自分が入店しなくても回る体制を作ることが、一番の人件費管理であり、多店舗展開への第一歩です。
では、オーナーは何をすべきか

「じゃあ現場に入るな、ということ?」——そうではありません。オーナーが入店することは必要です。ただし「人件費を抑えるため」という理由だけで入り続けることが問題です。
オーナーが入店するなら、経営者の目線で入ることが大切です。
- このクルーは成長しているか、どこでつまずいているか
- この時間帯の人員配置は適切か
- クルー同士の雰囲気はどうか
- 自分がいなくても同じ動きができるか
データでは拾えないクルーの表情、お店の空気感——入店を「観察と気づきの時間」にするのがオーナーとしての正しい入り方です。
そしてオーナーが本来時間を使うべきことは、大きく3つあります。
① 数字を見て判断する
売上と労働時間を確認して、シフト最適化の判断をする。毎週調整するのがベストです。
② 人を育てる・採用する
クルーの定着率を上げる仕組みを作り、優秀な人材に育てる。これが長期的に最もコスト効率の高い人件費管理です。
③ 制度を使い倒す
助成金申請・給与計算などは代行してもらい、オーナーが自分でやらなくていい仕事を減らす。自分の時間を経営に集中させる。
この3つに時間を使えているオーナーは、がむしゃらに現場に入り続けているだけのオーナーより、1年後に大きな差がついています。
人件費は「削る」のではなく「設計する」

売上の低い時間帯は薄くして、売上の高い時間帯はしっかり確保する。クルーのオールラウンダー化で少人数でも回せる体制を作る。時給アップ+助成金でモチベーションを保ちながらコストを抑える。
その設計をするのは、現場に入っているオーナーではなく、数字と向き合っている経営者としてのオーナーです。「今日も自分が入ってしまった」と感じているオーナーにまず考えてほしいのはこれです。今日の時間を経営者として使ったら、何が変わっていたか。その問いが、人件費管理を変える第一歩になります。
📋 人件費管理・シフト最適化のご相談も受け付けています
「現場から離れる体制を作りたい」「人時売上をどう改善すればいいか」——AILLコンサルティングでは店舗経営全般のご相談に対応しています。まずは無料相談からどうぞ。
まとめ
- 月200時間以上入店しているオーナーは珍しくない。根本にあるのは定着率の低さと人を育てられていないこと
- オーナーが現場に入るコストは時給換算だけでなく、失われる経営時間の価値が本当のコスト
- 入店時間を減らすと1店舗の利益は一時的に減るが、多店舗経営でトータルの収入は増える
- 入店するなら「観察と気づきの時間」として経営者の目線で入る
- オーナーが使うべき時間は「数字を見る・人を育てる・制度を使い倒す」の3つ
- 人件費管理の本質は「削る」ではなく「正しく設計して、現場から離れる体制を作る」こと
次回は「クルーのオールラウンダー化——ほっともっとで実践するメリット」です。どのポジションでも動ける体制が、シフト管理と人件費管理の両方を変えます。お楽しみに!