「ディシャップ完全ガイド|向いてる性格・仕事内容・教え方」AILLコンサルティング ブログ#077

「次、何する予定?」

ディシャップからの確認で、大量の注文伝票が滞りなく流れていきます。逆に、確認が遅れると、あちこちの流れが詰まり、提供までの時間がじわじわ延びていきます。

これまでの記事で、カウンターライスフライヤーガスの4ポジションを見てきました。今回はポジション別シリーズの最終回として、「ディシャップ」に向いている性格、仕事内容、そして現場での教え方をまとめていきます。


ディシャップに向いてる人・向いてない人

全ポジションの状況を見ながら指示を出すディシャップ担当クルーのイメージ

一言で言えば、ディシャップは店舗の司令塔です。サッカーで言えば中田英寿(古い?)、オーケストラで言えば小澤征爾のような存在だと私は思います。ライス・フライヤー・ガスへ「今何をしているか、次に何を何個作るか」を常に確認しながら必要に応じて指示を出し、カウンターも含めて滞っているポジションがあれば、そこをフォローするよう他のクルーに声をかけます。

この役割に向いているのは、リーダーシップが取れる人、みんなをまとめるのがうまい人です。ただ、それだけでは足りません。ディシャップには各ポジションの大変さを把握していることが欠かせません。ライスは流れについていけているか、フライヤーの揚げ物の投入と弁当作成のバランスは大丈夫か、ガスは次に作るものを分かっているか。指示だけ出しても、クルーはついてきません。

そのため、ディシャップは全てのポジションを問題なくこなせる人が担当することになります。カウンター・ライス・フライヤー・ガス、どこのポジションでもそつなくこなせるからこそ、それぞれの立場に立って指示を出せるわけです。必然的に、店舗の中でも経験を積んだクルーが任されるポジションになります。

そしてもう一つ大事なのが、今だけでなく先を見る力です。目の前の注文をさばくだけでなく、5分後、10分後、30分後、1時間後まで見据えて、店舗全体がうまく回るように全ポジションの動きを見て指示を出す。この時間軸の広さこそが、ディシャップに必要なスキルだと思っています。


ディシャップの仕事内容

出来上がった商品を伝票ごとに最終チェックしてカウンターへ渡すクルーのイメージ

ディシャップの仕事は、大きく分けて「指示出し」と「最終チェック」の2つです。

まず指示出しです。注文の状況を見ながら、ライス・フライヤー・ガスへ「今何をしていて、次に何をどれだけ準備してほしいか」を確認し、指示を出します。カウンターも含め、どこかのポジションが滞っていれば、他のクルーにフォローへ回るよう声をかけるのもディシャップの役目です。全てのポジションが今どういう状態かを常に頭に入れておかなければならないので、視野の広さが求められます。

ここで、以前#65 ライス編で「伝票に一番近い場所にいる司令塔」と紹介したライスとの違いが気になった方もいるかもしれません。ライスは伝票を見て、フライヤー・ガスに「今の注文で何を作るか」という一次情報を流す係です。一方でディシャップは、ライス・フライヤー・ガス・カウンターの全体を見渡し、先の先まで見据えて店舗全体の流れを組み立てる係になります。同じ「指示を出す」でも、見ている範囲と時間軸の広さが違うわけです。

そしてもう一つの仕事が、出来上がった商品の最終チェックです。ライス・フライヤー・ガスから上がってきた商品を確認し、伝票ごとにまとめてカウンターへ渡します。ここで抜け・遅れがあると、お客様への提供に直結してしまうので、最後の砦としての緊張感がある工程です。


ディシャップの仕事の教え方

新人クルーに指示出しの順番を教えるほっともっとオーナーのイメージ

ディシャップを教えるときにまず伝えているのは、「今だけでなく、先を見て指示を出す」という考え方です。とはいえ、これをいきなり求めても対応しきれません。一度にすべての注文を把握して指示を出そうとすると、確実にパンクしてしまいます。

だから最初は、目の前の一つの指示から始めてもらいます。今入っている注文について、ライス・フライヤー・ガスの誰に何を伝えればいいか。これができるようになったら、次はその次の指示まで見据えられるように、少しずつ範囲を広げていきます。

この段階を踏む理由は、ディシャップに求められる力が、知識ではなく「今の動きを見ながら、次の動きを予測する感覚」だからです。マニュアルを読んで覚えられるものではなく、実際に現場でクルーたちの動きを見ながら、少しずつ先読みの幅を伸ばしていくしかありません。私は横について、「今の指示が終わったら、次はどこに声をかける?」と本人に考えさせながら、レベルアップを図るようにしています。

全てのポジションを経験していることが前提になるポジションなので、教える段階に入る頃には、すでに店舗の動きを理解しています。あとは、その理解を「自分が動く」ことから「全体を動かす」ことへ切り替えていく、という意識づけが教え方の核だと思っています。

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まとめ

  • ディシャップに向いているのは、リーダーシップが取れて、みんなをまとめるのが上手く、各ポジションの大変さを把握している人。全ポジションを問題なくこなせることが前提になるため、経験を積んだクルーが担当することが多い
  • サッカーの司令塔、オーケストラの指揮者のように、今だけでなく5分後・10分後・30分後・1時間後まで見据えて、店舗全体がうまく回るよう全ポジションの動きを見て指示を出す役割
  • 仕事内容は大きく分けて「指示出し」と「最終チェック」の2つ。ライス・フライヤー・ガスへの指示出しとカウンターも含めたフォロー指示、そして出来上がった商品を伝票ごとにまとめてカウンターへ渡す最終チェックを担う
  • ライスが「一次情報の司令塔」だとすれば、ディシャップは店舗全体を俯瞰する統括の司令塔。見ている範囲と時間軸の広さが違う
  • 教え方は、一度にすべての指示を求めるのではなく、目の前の一つの指示→次の指示→その次の指示と、全体の動きを見ながら段階的に先読みの範囲を広げていくのが基本

これで、総論の#59から始まったポジション別シリーズは、カウンター・ライス・フライヤー・ガス・ディシャップの全5ポジションが出揃いました。それぞれ求められる力はまったく違いますが、どのポジションにも「その人らしい向き不向き」があることを、あらためて実感しています。人員の適正配置をして、お客様とクルーの満足度の向上を図りましょう!