「役員報酬の金額はどう決める?FCオーナーが知っておくべきこと」AILLコンサルティング ブログ#041

「役員報酬、いくらにすればいいんですか?」

法人を立ち上げてオーナーになった当初、これが一番困ったことでした。自分で自分の給料を決めるって、なんか変な感覚じゃないですか(笑)

「多い方が生活するには良さそうだけど、税金とか社会保険料も上がるんだよね?」「低くしておいた方がいいの?」——何を基準に考えたらいいのか、正直まったくわかりませんでした。

今回は、法人としてほっともっとを運営しているFCオーナーが知っておきたい役員報酬の基本ルールと、金額設定の考え方をまとめます。


役員報酬と給与は、ルールが違う

役員報酬について書類を確認するほっともっとオーナーのイメージ

まず知っておきたいのが、役員報酬とクルーへの給与では法人税法上の扱いがまったく異なるという点です。

クルーへの給与は、支払った金額をそのまま「経費(損金)」として処理できます。でも役員報酬は違います。法人税法では、役員報酬を損金算入(=経費として認めてもらうこと)するためには、一定の条件を満たす必要があります。

その条件として最もよく使われるのが、「定期同額給与」という方法です。

定期同額給与とは

毎月同じ金額を支払う役員報酬のことです。「定期(毎月)」「同額」という2つの条件を満たすことで、法人税上の経費として認められます。月の途中に金額を変えてしまうと、変更後の分が損金不算入(経費にならない)になるリスクがあります。

つまり「今月ちょっと多めに払おう」「今月は資金が厳しいから少なくしよう」という柔軟な変更は、原則として認められません。これが役員報酬のいちばん大事なルールです。


金額はいつ決める?変更できるのはいつ?

定期同額給与として損金算入するためには、事業年度の開始から3ヶ月以内に金額を決める必要があります。これを「定期改定」といいます。

タイミング 内容
事業年度開始から3ヶ月以内 この期間内に金額を決定・変更する(定期改定)。損金算入が認められる。
年度途中の変更 原則として認められない。病気や業績の著しい悪化など特例要件を満たせば一部認められる場合もある。

たとえば決算月が3月の会社であれば、4月〜6月の間に役員報酬を決めるのが原則です。「気が向いたら変えよう」という発想では、損をしてしまいます。

⚠ 役員報酬1円は社会保険の扱いに注意

法人を持っていても、役員報酬を1円にしていると社会保険に加入できないケースがあります。一定以上の役員報酬を受け取ることが社会保険加入の要件になるので、「役員報酬を低くして節税」という考え方は慎重に検討してください。


いくらにするか——金額設定の考え方

役員報酬の金額を電卓でシミュレーションするほっともっとオーナーのイメージ

「では、実際にいくらにすればいいの?」——これがいちばん聞かれることです。

役員報酬の金額設定は、次の流れで考えるのが実践的です。

検討ポイント 考え方
① 生活費はいくら必要か 月々の生活に最低いくら必要か。まず「手取りベース」で把握する
② 社会保険料はいくらかかるか 役員報酬の金額によって社会保険料が変わる。健康保険・厚生年金の額を確認する
③ 所得税はいくらかかるか 役員報酬は給与所得として課税される。給与所得控除があるが、高すぎると税率も上がる
④ 会社にどれだけ残すか 役員報酬を多くすると法人税は下がるが、個人の所得税・社会保険料は上がる。バランスが重要

①〜④のバランスを取りながら、最終的な金額を決めていきます。「役員報酬を増やすと法人税が下がる代わりに個人の所得税・社会保険料が上がる」というトレードオフが常に存在するのが、役員報酬設定の難しいところです。

私自身も最初は「とりあえずこのくらいかな」で決めていましたが(笑)、ちゃんとシミュレーションしてみると、手取りと税負担のバランスが全然変わってくるんですよね。年度の変わり目に一度じっくり考えてみることをおすすめします。

下のシミュレーターで、役員報酬の金額を変えながら「手取りと会社に残るお金」の目安を確認してみてください。


SIMULATION

役員報酬シミュレーター

協会けんぽ(埼玉県)2026年度料率 / 概算値

法人の年間利益(役員報酬前)


万円
役員報酬(月額)


万円/月
扶養人数



社会保険料への影響を知っておく

役員報酬の社会保険・税金への影響を確認するほっともっとオーナーのイメージ

役員報酬は、健康保険・厚生年金の標準報酬月額の基準になります。役員報酬が高いほど保険料も上がります——が、これは「損」とは言い切れません。

社会保険料を多く払うことには、こんなメリットもあるんです。

  • 将来の厚生年金の受給額が増える
  • 傷病手当金・出産手当金が高くなる(標準報酬月額に連動するため)
  • 国民健康保険と比べて、保険料が割安になるケースが多い

また、社会保険料は会社と個人で折半します。役員報酬の場合も同様で、会社が半分を負担します。この会社負担分は会社の経費にもなりますので、単純に「保険料が高いから損」というわけではないんですよね。

💡 役員報酬の設定は税理士・社労士との連携がおすすめ

役員報酬の金額設定は、法人税・所得税・社会保険料の三つが絡み合います。最適な金額は会社の利益水準・個人の生活費・将来の年金受給希望などによって変わります。税理士または社労士に相談しながら決めることをおすすめします。


FCオーナーが陥りやすい3つの間違い

① 「役員報酬=自由に変えられる」と思っている

前述のとおり、定期同額給与として損金算入するためには年度途中での変更が原則認められません。「売上が落ちたから今月は少なくしよう」という柔軟な対応が難しい点は、事前に把握しておく必要があります。

② 役員報酬を低く設定しすぎる

節税目的で役員報酬を低く抑えすぎると、社会保険の等級が下がり、将来の年金受給額が減ったり、傷病手当金の金額が少なくなったりするデメリットがあります。短期的な節税だけで判断しないことが大切です。

③ 変更のタイミングを知らずに機会を逃す

役員報酬の変更は原則として、新しい事業年度が始まってから3ヶ月以内に行います。「来月から増やそう」と思っても、タイミングが外れていると税務上認められないリスクがあります。自分の会社の決算月は必ず把握しておきましょう。


📋 役員報酬の見直し、一緒に考えます

「今の役員報酬の金額が適切か確認したい」「社会保険料の試算をしてみたい」など、役員報酬の設定や給与計算に関するご相談をお受けしています。現状の確認から見直し提案まで、一緒に進めていきましょう。

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まとめ

  • 役員報酬は毎月同額(定期同額給与)にすることで、法人税上の経費(損金)として認められる
  • 金額の変更は事業年度開始から3ヶ月以内に行うのが原則(定期改定)
  • 年度途中の変更は原則認められず、変更後の分が損金不算入になるリスクがある
  • 金額設定は「生活費・社会保険料・所得税・会社への留保」を総合的に考えてバランスを取る
  • 役員報酬を高くすると社会保険の等級が上がり、将来の年金受給額にも影響する(一概に損ではない)
  • 最適な金額は個々の状況によって異なるため、税理士・社労士との連携がおすすめ

役員報酬は「自分の給料だから好きに決めていい」ではなく、会社の税務・個人の手取り・社会保障がすべて絡んでくる大切な意思決定です。年に一度の決算前後に、ぜひ見直してみてください。