「欠勤控除の計算方法|月給制クルーの正しい減額ルール」AILLコンサルティング ブログ#042

「社員が急に休んだとき、給与はいくら引けばいいんだろう?」

月給制の従業員を雇ったとき、困ったのがこの問題でした。

時給制のクルーなら、働いた分の給料を払えばいいだけなので計算はシンプルです。でも月給制になると、「月に何日出てきても同じ金額を払う」という感覚があり、欠勤したときにどうやって計算するのかがよく分かりませんでした。

調べても「就業規則に定める」とか「ノーワーク・ノーペイの原則」とか、わかるようなわからないような言葉ばかり……(笑)

今回は、私が実際に理解するまでに時間がかかった「欠勤控除の計算方法」を、できるだけわかりやすく整理してお伝えします。


欠勤控除とは?まず基本から

月給制クルーの欠勤控除の基本的な考え方

欠勤控除とは、月給制の従業員が欠勤した日の分の給与を差し引くことです。

「ノーワーク・ノーペイの原則」という言葉を聞いたことはありますか?これは「働いた分だけ賃金を払う」という、給与計算の大原則です。

月給制でも、この原則は変わりません。月給はあくまで「1か月間、所定の日数・時間を働いたときに支払う金額」です。欠勤したなら、その分は減額してOKなんです(というか、きちんと減額しなければいけません)。

ちなみに、時給制のクルーは「出勤しなければ、その分の給料は発生しない」ので、欠勤控除という概念は基本的に不要です。月給制になって初めて出てくる話なんですよね。


計算方法は「何で割るか」で変わる

欠勤控除の2つの計算方法を比較した図

欠勤控除の計算式は、基本的にこうなります。

月給 ÷ 「割る数」 × 欠勤日数 = 欠勤控除額

「割る数」が何になるか、が実はポイントです。法律では明確に「これで計算しなさい」とは決まっていないため、就業規則で定めるのが原則です。

よく使われる方法は次の2つです。

計算方法 割る数 特徴
①所定労働日数で割る その月の所定労働日数 1日の価値を正確に反映。月によって控除額が変動する
②暦日数で割る その月の暦日数(28〜31日) 計算がシンプル。控除額は①より少なくなる

どちらを使うかは就業規則に明記しておく必要があります。就業規則に書いていなかったり、実際の計算が就業規則と違ったりすると、後でトラブルになることがあるので注意が必要です。


具体的な計算例で確認してみましょう

月給20万円・欠勤1日の欠勤控除計算例

実際に数字で見てみましょう。

たとえば、月給20万円・6月(所定労働日数22日)に1日欠勤したクルーの場合。

①所定労働日数で割る場合
200,000円 ÷ 22日 × 1日 = 約9,091円を控除

②暦日数で割る場合(6月は30日)
200,000円 ÷ 30日 × 1日 = 約6,667円を控除

同じ「欠勤1日」でも、2,400円以上の差が出るんです。これが毎月続くと、年間でみたらかなりの差になりますよね。

どちらが「正しい」ということはありませんが、所定労働日数で割る方が、1日の労働価値を正確に反映した計算になるため、使っている会社が多いようです。


遅刻・早退のときも同じ考え方です

欠勤の話をすると「じゃあ遅刻や早退はどうするの?」という疑問も出てきますよね。

考え方は一緒です。時間単位で計算する場合は、こうなります。

月給 ÷ 月の所定労働時間数 × 遅刻・早退した時間数 = 控除額

たとえば、月給20万円・1か月の所定労働時間が160時間のクルーが2時間遅刻した場合。

200,000円 ÷ 160時間 × 2時間 = 2,500円を控除

こちらも就業規則に計算方法を明記しておくことが大切です。「遅刻した分だけ引く」という原則は同じですが、「何時間単位で計算するか」「15分未満は切り捨てか切り上げか」なども決めておくとトラブルを防げます。


やってはいけない「欠勤控除」の落とし穴3つ

欠勤控除でありがちなミスと注意点のチェックリスト

ここからは、私が実際に「あぶなかった」と感じた落とし穴をお伝えします。

落とし穴① 有給休暇を欠勤扱いで控除してしまう

有給休暇を取得した日は、欠勤控除してはいけません。有給休暇は「休んでも給与が発生する権利」なので、控除するとアウトです。

特に要注意なのが、クルーが「明日有休使っていいですか?」と連絡してきたケース。口頭で承認しているのに、給与計算のときに欠勤として処理してしまう……という事故が起きやすいです(私もヒヤッとしたことがあります)。

落とし穴② 月によって所定日数が変わるのを忘れる

所定労働日数で割る方法を使っている場合、月によって所定労働日数は変わります。週5日勤務なら、5月や7月のような日数が多い月は所定労働日数も多く、2月のような短い月は少なくなります。

毎月同じ日数で計算してしまうと、正しい欠勤控除額が出ないので注意が必要です。給与計算ソフトを使っている場合は自動で対応してくれることが多いですが、手計算の場合は毎月確認するクセをつけておきましょう。

落とし穴③ 欠勤が続いた場合の処理を決めていない

体調不良や家庭の事情でクルーが長期欠勤するケースがあります。欠勤控除の計算方法だけでなく、「何日以上休んだら欠勤控除ではなく休職扱いにするか」「休職中の給与はどうするか」なども就業規則に定めておくと安心です。

長期欠勤は突然やってきます。そのときになって慌てないよう、事前に整備しておくことをおすすめします。


就業規則に書いていない場合はどうする?

「そもそも就業規則に計算方法が書いていない」というオーナーさん、実は結構いらっしゃいます。

その場合は、早めに就業規則を整備することをおすすめします。

欠勤控除の計算方法が明記されていないと、「なぜこの金額を引かれたの?」とクルーから問われたときに説明できません。また、計算方法が恣意的に見えてしまい、不信感につながることもあります。

就業規則は10人以上の事業所では作成・届出が法律上の義務ですが、10人未満でも作成しておくことで労使のトラブルを防ぐ大きな効果があります。「面倒だな」と思う気持ちはすごくわかるんですが(笑)、一度整備してしまうと本当に楽になりますよ。

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まとめ

  • 欠勤控除は「月給 ÷ 割る数 × 欠勤日数」で計算する
  • 割る数は所定労働日数暦日数のどちらかを就業規則で定める
  • 所定労働日数で割る方法が、1日の価値を正確に反映しやすい
  • 有給休暇取得日は欠勤控除してはいけない
  • 月によって所定労働日数が変わることに注意する
  • 就業規則に計算方法を明記しておくことがトラブル防止の基本