「就業規則の法定休日はどう決める?シフト制店舗の考え方」AILLコンサルティング ブログ#052

「法定休日って、どう決めればいいんでしたっけ?」——先日、ほっともっとのオーナーさんから、こんな質問をいただきました。

ほっともっとでは、クルーも社員も曜日を固定せずに休みを取ることが多いです。だからこそ、「うちの法定休日はいつなのか」をオーナー自身がきちんと把握できていないケース、実は少なくないんです。

法定休日を決めていない、あるいは曖昧なまま運用していると、割増賃金の計算を間違えてしまうリスクがあります。今回は、シフト制の飲食店が押さえておきたい法定休日の考え方を整理します。


そもそも法定休日とは何か

法定休日の基本を確認するほっともっとオーナーのイメージ

労働基準法35条では、使用者は労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないと定められています(原則)。ただし、これには例外もあり、4週間を通じて4日以上の休日を与える場合は、この限りではないとされています(変形休日制)。

つまり、「毎週日曜日を法定休日にする」と決める必要は必ずしもなく、「4週間のうちに4日休みがあればよい」という運用も認められているんです。ここが、シフト制の店舗にとって意外と重要なポイントになります。

ここでひとつ、用語を整理しておきます。休日には「法定休日」と「所定休日」の2種類があります。法定休日は、今お伝えした通り労働基準法で義務づけられた休日のこと。それに対して所定休日は、会社が就業規則などで独自に定めているそれ以外の休日を指します。例えば週休2日のうち1日を法定休日、もう1日を所定休日とするのが一般的なイメージです。この2つ、実は割増賃金の扱いが違うんです。次で詳しく見ていきましょう。


法定休日と所定休日、実は割増賃金が違うんです

法定休日と所定休日の割増賃金を比較するオーナーのイメージ

法定休日と、会社が独自に定める「所定休日(法定外休日)」は、割増賃金の扱いがまったく違います。ここを混同していると、給与計算を誤ってしまうことがあります。

区分 割増賃金率
法定休日労働 35%以上
所定休日(法定外)労働 通常の残業と同様に計算(週40時間超過分は25%以上)
深夜(22時〜5時)に及ぶ場合 上記に25%以上を加算

例えば、週6日勤務のクルーが、所定休日と決めた日に加えて、就業規則上の法定休日にも出勤したとします。このとき、どちらの日に出勤させたかによって割増率が変わってきます。ここを曖昧にしたまま給与計算をしていると、意図せず未払い賃金が発生している可能性があるので注意が必要です。

具体的に数字で見てみましょう。時給1,200円のクルーが8時間出勤したケースで比較してみます。

出勤した日 計算式 支払賃金(8時間分)
法定休日 1,200円 × 1.35 × 8時間 12,960円
所定休日(週の労働時間が40時間を超えた場合) 1,200円 × 1.25 × 8時間 12,000円

同じ「休みの日に8時間出勤してもらった」だけなのに、法定休日か所定休日かで960円の差が出ます。これが月に何度も積み重なれば、当然その分だけ人件費にも影響してきますし、逆にどちらの休日かを取り違えて計算していれば、未払い賃金という形でリスクが残ってしまいます。


シフト制店舗は「曜日を固定しない」ほうが動きやすいことも

シフト表を見ながら休日設定を考えるほっともっとオーナーのイメージ

飲食店の場合、曜日ごとに休日を固定してしまうと、繁忙期のシフト調整がやりにくくなることがありますよね。そこで検討したいのが、就業規則で「特定の曜日」ではなく「4週間を通じ4日以上の休日を与える」という変形休日制を採用する方法です。

この方式であれば、週によって休みが土曜だったり水曜だったりしても、4週間トータルで4日以上の休みが確保されていれば法定休日の要件を満たします。ただし、就業規則にその旨をきちんと明記し、どの4週間を1サイクルとするかのルール(起算日)も決めておく必要があります。

例えば、繁忙期をまたぐ4週間のシフトが、次のような組み方になったとします。

休日日数 備考
第1週 0日 大型連休シーズンで全員フル出勤
第2週 2日 繁忙期が落ち着き休みを多めに配置
第3週 1日 通常運営
第4週 1日 通常運営
4週間合計 4日 法定休日の要件を満たす

第1週は休日が0日ですが、4週間トータルで4日を確保できていれば法律上は問題ありません。「毎週必ず1日は休ませないといけない」という思い込みだけで繁忙期のシフトを組んでしまうと、かえって人手が足りなくなる場面もあるはずです。変形休日制を正しく理解しておけば、こうした繁忙期の乗り切り方にも選択肢が増えます。


就業規則にはどう書けばいいか

変形休日制を採る場合、就業規則には例えば次のような規定を置きます。

「第◯条 休日は、4週間を通じ4日以上とする。起算日は毎年4月1日とする。」

このように、起算日を明記することが欠かせません。起算日が曖昧なままだと、いざ休日労働の割増賃金を計算する際に、どの日が法定休日にあたるのか判断できなくなってしまうんです。

また、シフト表を作成する担当者にも、この考え方をきちんと共有しておくことが大切です。「今週は法定休日をどこに設定したか」を意識してシフトを組んでもらうだけで、給与計算時のトラブルをかなり未然に防げます。


振替休日と代休、混同していませんか

就業規則に休日の規定を確認するイメージ

法定休日に関連してよくご相談いただくのが、「振替休日」と「代休」の違いです。

振替休日は、事前に休日を別の日に振り替える手続きを取る場合で、この場合は法定休日労働にはあたらず、割増賃金は発生しません(通常の賃金でOKです)。一方、代休は、休日に出勤させた後で別の日に休みを与える場合で、この場合はいったん法定休日労働の割増賃金(35%以上)が発生し、その後与える代休は有給・無給どちらでもよいという扱いになります。

「代休を与えたから割増は払わなくていい」と誤解されているケースを、何度か見てきました。事前に振り替えたのか、それとも事後に休ませたのか、それで割増賃金の要否がまったく変わってきます。この違いは、給与計算を担当する方にもぜひ知っておいてほしいポイントです。

具体例で考えてみます。土曜が所定休日のクルーに、繁忙期で急遽出勤をお願いすることになったとします。

このとき、出勤をお願いする前の段階で「その代わりに来週火曜日に休んでもらいますね」と伝え、休む日を決めていれば「振替休日」にあたります。この場合、土曜出勤分は通常の賃金でよく、割増賃金は発生しません。

一方、事前の取り決めがないまま「今日はどうしても出てほしい」とお願いして出勤してもらい、後日になってから「先週出てもらった分、今度休んでください」と休みを与えた場合は「代休」の扱いになります。この場合は、土曜出勤の分について法定休日労働の割増賃金(35%以上)をきちんと支払ったうえで、代休は別途与える、という形になります。

同じ「休んでもらう日を用意する」という対応でも、事前か事後かで賃金の扱いが違う——この点は、シフトを組む立場の方にもぜひ意識しておいていただきたいです。

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まとめ

  • 法定休日は労働基準法35条により、週1日、または4週4日以上与える必要がある
  • 法定休日労働は35%以上の割増賃金が必要で、所定休日労働とは扱いが異なる
  • シフト制店舗では、曜日を固定せず「4週4日」の変形休日制を採用する方法もある
  • 就業規則には起算日を明記し、シフト作成者にも考え方を共有しておく
  • 振替休日と代休は割増賃金の扱いが異なるため、混同しないよう注意する