「外国人クルーを雇うのは難しそう」——そう感じているオーナーは多いと思います。私も最初はそうでした。
でも実際にベトナム人と中国人のクルーと一緒に働いてみて、印象は大きく変わりました。ただ、これはあくまで私が経験した話であり、日本人と同じで人によります。先入観を持たずにその人個人を見ることが大切です。
今回は、外国人クルーを雇用したときに使える助成金と、現場で感じた注意点をお伝えします。
外国人クルー、実際どうだったか

ベトナム人と中国人のクルーと働いた経験から、率直な印象をお伝えします。
良かった点は、仕事への姿勢でした。遅刻しない、指示に従う、覚えが早い。作業スピードについては日本人クルーと比べても引けを取らない、むしろ速い場面も多かったです。また、私が一緒に働いていた外国人に関しては、日本語でのやり取りにまったく支障がありませんでした。
カウンターはあまり任せませんでした。接客で問題が起きた場合のリスク管理という意味もありましたが、本人たちも「調理の方が向いている」と感じていたようです。調理・仕込みポジションで活躍してもらいました。
一つ気になったのは、衛生管理の基準です。食品衛生の常識は国によって違います。「日本では問題になる」という行動が、本人に悪意はまったくなく、ただ「自分の国ではそれが普通だった」というケースがありました。衛生管理は採用直後に丁寧に時間をかけて教える必要があります。
雇用前に必ず確認すること——在留資格

外国人を雇用する前に、必ず確認しなければならないのが在留資格です。在留資格によって、就労できるかどうか・就労できる時間に制限があるかどうかが決まります。
| 在留資格 | 就労の可否 | 飲食店での雇用 |
|---|---|---|
| 永住者・定住者・日本人の配偶者等 | 制限なし | 問題なし |
| 留学生(資格外活動許可あり) | 連続7日間で28時間以内 | 時間管理が必須 |
| 特定技能(飲食料理分野) | フルタイム可 | 問題なし |
| 就労不可の在留資格 | 不可 | 雇用不可 |
留学生の「週28時間」という表現をよく見ますが、正確には「連続する7日間で28時間以内」です。月曜〜日曜という固定の週ではなく、どの7日間を切り取っても28時間を超えてはいけません。
もう一つ見落としがちなのがダブルワーク(掛け持ち)です。他のお店でも働いている場合、その時間も合算して28時間以内でなければなりません。「うちでは週20時間しか入れていない」でも、他店で15時間働いていれば超過です。採用時に掛け持ちの有無を確認するのはもちろんですが、採用後に別のお店で働き始めて超過してしまうケースもあります。定期的に本人へ確認する習慣を持っておきましょう。
雇用時に確認すべき書類は以下の通りです。
- 在留カード(在留資格・有効期限・就労制限の有無を確認)
- 特別永住者証明書(特別永住者の場合)
- 資格外活動許可証(留学生・家族滞在等の場合)
在留カードは表面だけでなく裏面も必ず確認してください。記載内容に変更があった場合、裏面に記載されています。
⚠️ 違反した場合のリスクは重大
就労時間を超過させてしまった場合、雇用主は不法就労助長罪として懲役または罰金の対象になります。さらに外国人の雇用全体に影響が出ることも。本人も在留資格の取消・強制送還になりえます。「知らなかった」では済まないリスクです。
💡 在留カードとマイナンバーカードの一体化が始まります
2026年6月14日から、在留カードとマイナンバーカードの一体化が開始されます。これにより行政側の就労状況の把握が強化され、週28時間超過の検出がより容易になります。今まで以上に厳格な時間管理が求められます。
外国人クルーにも使えるキャリアアップ助成金

「外国人向けの助成金って何があるんだろう」——私自身、一緒に働いていたときはその存在すら知りませんでした。知っていれば申請していたので、もったいないことをしました。
外国人クルーへの助成金で最も使いやすいのは、キャリアアップ助成金です。「外国人専用」の制度ではありませんが、雇用保険に加入していれば国籍に関わらず対象になります。
| コース | 内容 | 受給額(中小企業) |
|---|---|---|
| 賃金改定コース | 時給を一定率以上引き上げる | 1人あたり4〜7万円+初回加算最大40万円 |
| 正社員化コース | パート・アルバイトを正社員に転換 | 1人あたり80万円 |
ただし、いくつか確認が必要な点があります。
① 雇用保険に加入できる在留資格かどうか
週20時間以上勤務する場合、雇用保険への加入が必要です。就労制限のある在留資格(留学生など)の場合、週28時間という上限との兼ね合いで加入できないケースもあります。
② 在留期間が申請スケジュールをカバーできるか
キャリアアップ助成金は計画書提出から受給まで約1年かかります。在留期限が1年以内に切れる場合は、更新後に申請を検討するか、更新が確実かどうかを確認してから進める必要があります。
💡 「外国人だから対象外」ではない
キャリアアップ助成金は国籍を問いません。雇用保険に加入していて、条件を満たしていれば日本人と同じように申請できます。外国人クルーを長く雇用するつもりであれば、早めに確認しておく価値があります。
外国人クルーを育てるときの注意点

実際に外国人クルーと働いて感じた、育成上の注意点をお伝えします。
① 衛生管理は最初に丁寧に教える
前述の通り、衛生管理の基準は国によって異なります。「常識」として身についているものが違うため、「なぜそのルールがあるか」という理由から説明すると伝わりやすいです。「日本ではこうしなければならない」という押しつけではなく、食の安全という共通の目的から入ることが大切です。
② カウンターは慌てて任せない
日本語に問題がなくても、接客の「空気感」「間の取り方」「クレーム対応」は文化的な背景が影響します。最初は調理・仕込みポジションで慣れてもらい、本人が「やってみたい」と思えるタイミングでカウンターに移行する方がトラブルが少ないです。
③ 頑張りをきちんと言葉にして伝える
一緒に働いていると、そのクルーの頑張りが見えてきます。遅刻しない、休まない、指示に従う——そういった姿勢が見られたときは、「◯◯さんの仕事ぶりに助かっている」という言葉をきちんと伝えることが大切です。外国人・日本人にかかわらず、頑張りを認めてもらえることが定着につながります。
📋 外国人クルーへの助成金活用もご相談ください
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まとめ
- 外国人クルーも日本人クルーと同様、人によって性格は異なる。先入観を持たずその人個人を見ることが大切。なお、衛生管理の基準は国によって異なるため採用直後に丁寧に教える必要がある
- 雇用前に在留資格と就労制限を必ず確認する。留学生は週28時間の上限あり
- キャリアアップ助成金は国籍を問わず、雇用保険加入者であれば対象
- 在留期間が申請スケジュール(約1年)をカバーできるかを事前に確認する
- 育成では衛生管理を最初に丁寧に教える・カウンターは慌てて任せない・頑張りを正当に評価するの3つが重要
次回は「合同会社AILLとは?代表・藍辰徳の自己紹介」です。なぜこのサービスを立ち上げたのか、20年超のキャリアと想いをお伝えします。お楽しみに!