「深夜割増賃金の計算ミスを防ぐ|飲食FCオーナー向け解説」AILLコンサルティング ブログ#044

「深夜割増は22時から、25%上乗せ」——これくらいはわかってる、というオーナーさんは多いと思います。

でも、こんなケースはすぐ答えられますか?

8時間以上勤務して22時を過ぎたクルーの割増率は?」「法定休日の夜間シフトに入ったクルーは?

この”割増が重なるパターン”になると、急にややこしくなりますよね。ここは計算ミスが起きやすい所なので、今回は複合パターンの計算を丁寧に整理します。


まず基本だけサクッと確認

深夜割増賃金の基本を確認するほっともっとオーナーのイメージ

深夜割増賃金は、22時〜翌5時の時間帯に働かせた場合、通常賃金の25%以上を上乗せして支払う義務があるものです(労働基準法第37条第4項)。

計算式はシンプルです。

上乗せ額 = 時給 × 0.25 × 深夜時間数

時給1,200円のクルーが深夜に3時間働いたなら、上乗せ分は1,200円×0.25×3時間=900円です。

ここまでは基本。ここからが本題です。


残業と深夜割増が重なる場合

残業と深夜割増が重なるケースを電卓で計算するほっともっとオーナーのイメージ

まず「残業(時間外労働)」の定義を確認しておきましょう。

残業=シフト表より多く働いた分?これも残業ではありますが、法律上の残業は「時間外労働」といい、これは1日8時間・週40時間の「法定労働時間」を超えた部分のことです。シフト表の時間ではなく、法律が定めた上限時間が基準になります。

たとえば、1日7時間シフトのクルーが1時間延長して合計8時間働いたとします。シフト表より多く働いてはいますが、法定の8時間以内に収まっているので割増賃金は不要です。8時間を超えた部分から、はじめて25%割増の対象になります。

1日の実労働時間 割増の有無
8時間以内 割増なし
8時間を超えた部分 +25%割増

ただし、就業規則に「所定労働時間を超えた場合は割増を払う」と定めている場合は、8時間以内でも割増の義務が発生します。ご自身の就業規則も一度確認してみてください。

この前提を踏まえた上で、残業が深夜に及んだ場合を見ていきましょう。

所定終業が21時のクルー(1日8時間シフト)が残業して23時まで働いた場合。21時以降が法定時間外になるので、時間帯ごとに割増が変わります。

時間帯 割増の内訳 割増率
21時〜22時 残業割増のみ +25%
22時〜23時 残業割増+深夜割増 +50%(25%+25%)

実際の金額に置き換えると(時給1,200円の場合)

  • 21時〜22時:1,200円 × 1.25 × 1時間 = 1,500円
  • 22時〜23時:1,200円 × 1.50 × 1時間 = 1,800円

合計:3,300円(残業2時間分)

同じ「残業1時間」でも、22時をはさんでいるか否かで300円の差が出ます。「残業割増はどこでも同じ25%」と思って一律計算してしまうと、22時以降の深夜部分が払い足りないことになるんですよね。


休日出勤と深夜割増が重なる場合

法定休日と深夜割増が重なるケースを書類で確認するほっともっとオーナーのイメージ

休日出勤のケースは、休日の種類によって割増率が変わるため、少し丁寧に整理する必要があります。

休日の種類をまず確認

休日には「法定休日」「法定外休日」の2種類があります。

  • 法定休日:労働基準法が義務付ける「週1日の休日」。この日に働かせると35%割増
  • 法定外休日:会社が就業規則で定めた法定以上の休日(週休2日の場合の2日目など)。この日に働かせた場合、週の総労働時間が40時間を超えた分だけ25%割増(時間外扱い)

ほっともっとのようなシフト制の店舗では、法定休日はシフト表で「公休」として設定している日が該当します。

ここで大切なのは、法定休日は就業規則であらかじめ指定した日でなければならないという点です。「休んだ日が自動的に法定休日になる」わけではなく、就業規則に「毎週○曜日を法定休日とする」などと定めておく必要があります。

たとえば、週3日勤務のクルーが4日目に出勤した場合でも、その4日目が就業規則で「法定休日」に指定されていない日であれば35%割増は不要です。さらに週の総労働時間が40時間を超えていなければ時間外割増も発生しません。シフトの日数が増えた=自動的に割増、とはならないんですよね。

また「1週間ずっと働かせて、最後の1日だけ休日出勤扱いにする」というのは正しくありません。法定休日を1日も与えずに7日連続で働かせること自体が法律違反になります。あらかじめ指定した法定休日に出勤を求めた日が「休日労働」です。

法定休日に深夜まで働かせた場合

法定休日に22時以降まで働かせた場合は、休日割増35%と深夜割増25%が両方かかり、合計60%の上乗せになります。

時間帯 割増の内訳 割増率
法定休日(〜22時) 休日割増のみ +35%
法定休日(22時〜5時) 休日割増+深夜割増 +60%(35%+25%)

時給1,200円のクルーが法定休日の22時〜23時まで1時間働いた場合を計算すると

1,200円 × 1.60 × 1時間 = 1,920円

通常の深夜(50%増し)と比べると、さらに10%分上乗せされます。「法定休日の深夜は60%増し」——これは特に見落としやすいポイントです。

なお、法定休日には「残業」という概念はありません。法定休日に働かせた時間はすべて「休日労働」として35%割増(深夜は60%)で計算します。「8時間を超えたから残業割増も追加で……」とはならないので、この点も注意してください。

法定外休日に深夜まで働かせた場合

法定外休日(週休2日のうちの2日目など)に出勤した場合は少し異なります。その週の労働時間が40時間を超えた分だけ残業扱いとなり、残業割増25%+深夜割増25%=50%増しになります。

40時間を超えていなければ深夜割増(25%)のみです。週の累計労働時間を確認した上で計算するのがポイントです。


割増率をまとめて整理すると

割増率の一覧表を確認するほっともっとオーナーのイメージ

ここまでの内容を一覧にまとめます。

状況 割増率
深夜のみ(所定時間内・22時〜5時) +25%
残業のみ(22時未満) +25%
残業+深夜(所定時間を超えた22時以降) +50%(25%+25%)
法定休日(22時未満) +35%
法定休日+深夜(22時〜5時) +60%(35%+25%)

ミスが起きやすいのは「残業扱いと深夜割増が重なっているのに、どちらか一方しか計算していない」ケースです。割増は重複する場合には必ず加算します。「深夜は25%だから25%だけ」では足りません。


給与計算ソフトの設定も要確認

給与計算ソフトを使っている場合、設定が正しくなければ毎月の計算がずれ続けます。確認してほしいポイントは3つです。

  • 深夜の判定時刻が22時になっているか(23時や0時になっているソフトもある)
  • 残業+深夜の複合割増が自動で計算されるか(手動で設定が必要なソフトもある)
  • 法定休日と法定外休日が区別されているか(同じ「休日」として35%になっていないか)

給与計算ソフトに任せっきりにして、実は設定が間違ったまま給与を計算していた——という話も聞いたことがあります。導入時に設定したきりの方は、この機会に確認してみてください。

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まとめ

  • 深夜割増(22時〜翌5時)の基本は25%上乗せ
  • 残業して22時を過ぎた場合は残業25%+深夜25%=50%上乗せになる
  • 法定休日の深夜は休日35%+深夜25%=60%上乗せになる
  • 法定休日に「残業」の概念はなく、全時間が35%(深夜は60%)で計算する
  • 法定外休日は週40時間を超えた分だけ残業扱い+深夜割増が加わる
  • 給与計算ソフトの深夜設定・休日区分・複合割増の設定を一度確認しておく